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第19話 千秋の家庭

『あ、後は彼氏が出来たのもその時でしたね』

少し考えるポーズを決めながら思い出したように言う


「相手は何歳だったんだ?」


『隣に住んでた16です』


「お前、本当に何やってんだ」


本当にこいつは、何をやっているんだろうか。

年上好きとは公言していたし、あいつの大量の彼氏も見たことあるが、この時点からそうとは、流石に予想外だった。


『その時に父と母が喧嘩をし始めてたんです。一応子供なりに頑張ってたんで離婚はしませんでしたが、子供を理由に何時まで大丈夫かな~って高見の見物でした』


「やなガキだな」


しかし、容易に想像が出来てしまう。こいつは結構器用な人間だと思う、学校でもそうだがスクールカーストで中下層かカースト外にも関わらず、人気者とも付き合える程度には器用な人間だ。


多分だが、こいつなりに頑張っていたんだろ。親が離婚しない様に子供のフリして、純粋なフリをして、離婚出来ない理由を押し付けられる様にしていたんだろ。


『まぁ離婚して再婚されましたけどね』


「嫌だって言わなかったのか?」


『もうどうでもよくなりました』


その表情は、どこか諦めている様であり冷めた目をしていた。


『それで新しい母が来て、妹が出来てその子に付きっきりになって、放ったらかしにされてたんですけど、ある日その事を自覚した継母が気を使うようになって、関係がギクシャクして現在に至ります』


「早い話、厄介払いされたんだな」


『先輩は、人の心は傷付くと言うことをまず学びましょう』

濁りきった目がヤバイぐらいにドロドロしていた。本当に何でこいつの目は泥沼みたいになっているんだ。


『はいはい、そうですよ。でもこうなったのは貴方の所のお姫様にも原因あるんですよ』


「は?何でここで胡桃が出てくるんだよ」


『何も知らない胡桃がここに遊びに来て、暗黙のルールで触れないようにしてるのを全部触れちゃったんです』

貧乏人は、遠い目をして言った。


<何で千秋ちゃんを追い出そうとしてるの?>


<赤ちゃんって2階まで聞こえるものなの?普通聞こえないよ?>


<お母様って千秋ちゃんに似てないね、お父様似なのかな?>


<赤ちゃんも千秋ちゃんも悪くないよ?責任押し付けるのは辞めたほうがいいよ>


Etc.etc.・・・


『すべての逆鱗に触れ、私は気まずくなりましたとさ』


「・・・」


『まぁ、全部言ってくれて良かったんですけどね』


「胡桃は純粋だからな」

そして、ムカつく事に千秋を溺愛している。千秋は自分の親友と言い張り、千秋に対しては普段は出さない我儘も出している。


天性の良い子とも言える胡桃が我儘を言うのは殆ど千秋が絡んでいる時である。


『もう暗い話は辞めましょう』

気が付けば、結構な時間が経っていた


『簡単なの作るんで食べてください』

千秋は、部屋を出て10分で戻ってきた。


皿と箸が用意され、湯気が立ち上ぼり香ばしいかおりがする。俺は箸をもって一口食べた


「意外とうまいな」


『卵とトマトの炒めものです』


流石調理師免許をもっているだけあって、その腕は俺のシェフとかわりなかった。


その後、小腹が満たされた俺はそのまま自分の家へ帰った。




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