第15話 パーティ4
胡桃と踊った後、音楽は終わり、盛大な拍手を貰った。
それは学園の天使の異名に恥じない、胡桃のゆったりとした可愛らしいダンスへの称賛だったのか、殆ど自分の土壇場で目立つダンスを男を何人も変えながら踊ってた私への称賛かは、分からない。
最後は胡桃に合わせてゆったりとしたダンスをしていたので、羨望や嫉妬に興味に疑問と沢山の視線をビシビシと、ダイレクトに浴びる事となった。胡桃は私しか見ていない様で、ポワポワした笑みが素晴らしく可愛いかった。
「千秋!どこ行くの?」
『ちょっと疲れたから、バルコニーにね』
そう言って行こうとするが、胡桃は私の手をつかんで
「私も行く!!」
と、ある意味想定内の事を言われた。そう言うと思っていたのだが、生憎生徒会の目線がちょっとヤバイ感じになっている。鳳君なんて目線だけで殺しそうだし、桜ノ宮先輩なんて、今にも来そうだ
理由は分かっている、普段は面倒事を増やさない為に上手く胡桃をあしらったり、親友だと胡桃は言ってくるけど、自分からは言わないでヘラヘラしてるのに、今日の私はテンション異常により、胡桃とダンスして更には胡桃が私以外を見なくなってるからだ。
なので私は殺され無い為に
『あー・・ごめん、バルコニーには出たいんだけど、実は動き過ぎてお腹が減ってて・・だから、胡桃に持って来て欲しいんだ、ダメ?』
「いいよ!持ってくるよ!親友だもんね!行ってくる!」
そう言ってトテトテと小走りで行った。
勿論そっちには生徒会がいるから捕まり、胡桃も<皆平等に優しい>性格のせいで逃げれないだろう。
そして、私はバルコニーに出て風に当たる。
そこから、生徒会に捕まり教師に捕まり、更には彼女を慕っている生徒たちに囲まれるのが見える。
計算通り、少しの間はこ来れないだろう、そして胡桃は焦って、内心泣きそうになってるが優しい性格のせいで無下には出来ないだろう。
散々踊り狂ったせいで体が火照っているので風が涼しくて調度いい・・・
バルコニーから見える夜景は確かに綺麗で美しい、普通校舎の人間が特別校舎に行きたがるのも無理は無いし、
特別校舎の人間がしがみつきたくなるのも分かる。多分理由はもっと複雑かも知れないがね。
『本当に疲れた』
私はグッタリと寄りかかる。本当はさっき連絡先をくれた年上男たちと遊びたいのだが、生憎無理だろう。
何故なら今の私だと、場所なんか考えずに色々しちゃいそうだからだ。
『・・・いっそ庭か、トイレで「学園で不貞行為はやめてや千秋」・・』
いつもの狐顔の、嘘臭いヘラヘラした男が現れた。
『別に庭かトイレでって言っただけです、別に何かをまで言ってません~』
と、口を尖らせてブーブー言う
「さよか?何かまた胡桃の目に毒な事をしようとしてるんちゃうやろな?」
『遊びまくってそうな会長に言われたくありません』
本当に何でこの人って胡桃の血縁者なんだろう?どうなってんだよDNA。そして大阪に帰れ、関西弁。
「俺はそんなに遊んでへんよ」
『そうですか』
もうやだ、この人と居たくない。
今でこそ普通に会話が出来ているが、初対面なんて最悪最低だった、いきなり暴言を吐かれ、毒舌で敵対心を隠そうともしないで、最後は色々あって殴り合いになった
素人の癖に・・・いや、素人だからこそ力加減も無視で滅茶苦茶に殴ってこられた。
そこから友情が芽生えのかは知らんが、態度は軟化してくれた。しかし、私はこいつに友情なんて感じてないし劇的な心境の変化があった訳ではない、ウザい奴から厄介な奴になっただけだ、だから私は話したくない。
「もっと話そうや、逃げらんといて」
会場内に逃げ込もうとした私に和仁会長が肩を掴んだ。
もう少しで行けると思ったのに、この人やっぱ嫌いだ。




