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第98話 千秋の答えと鳳

最終話です。今までありがとうございました!

屋上で、私は風に煽られながら柵にもたれかかった。


「(そろそろ、決着はついたんですかね?...)」


気になるのは胡桃さんと千秋さんのこと。あの二人はうまくいったのでしょうか?


千秋さんは...胡桃さんのことが本心では好きなんだと思います。胡桃さんを守ろうとひねくれた方法を何度もしていましたから。


私のことなんて眼中に無かったんですから...悲しいです。


演説の時、千秋さんは私をどうでもいいものと言う風にみていた。それはきっと当たり前で...これが現実。


「分かってはいましたけど...」


「何がわかったんだい?」


「あぁ、それはですね... ...ってぇええ!?千秋さん!?」


いつのまにか私の後ろにいた千秋さんに驚き、あとずさる。千秋さんはイタズラに成功した子供のように笑っている...


「胡桃と決着はついたよ...色々あったけどね。会長投票も私の勝ちが決定したみたい」


「千秋さんが会長ですか...」


「いや、私が会長じゃないよ。元々立候補もしてないし」


その言葉に驚き、話を聞けば千秋さんは自分の口からは立候補するとは言わず、挑むと言っただけであったらしい。


「ってことは、会長は...」


「和人先輩が卒業するまで会長をやって、そのあと鳳くんがするんだよ」


「聞いたことありませんよ、そんなの...」


でも、会長なんてのは千秋さんの柄でも無いんでしょうし、胡桃さんとの決着がついた今、もう興味も無いんでしょう。


それを考えればある意味妥当...アレ?普通に会話をしましたが...


千秋さん、どこか雰囲気が...


「『』が...なくなっている...」


「うん、怒りに任せてたら取れた...本音って大事だね」


どこか懐かしむ様に千秋さんは笑う。それはまるで呪いが解けたお姫様みたいで...やっと千秋さんに会えた気がした。


「どう?『』が無くなった私。魅力的?」


「...『』があるときも無い時も、私は変わらず千秋さんが好きですよ」


そういうと、千秋さんは目をパチクリさせて私に背を向けた。改めてみるとその背は細かった。


身長は男子並にあるものの、華奢で細く抱き締めたら折れてしまいそうだ。


そんな背で彼女は沢山の物を背負っていたのでしょう。


「あのさ...その返事、まだしてなかったよね?」


女にしては低く男にしては高い、スッキリとした変声期前の少年声が響きわたる。


「はい」


私の言葉をきいた千秋さんは再び私の方に振り返った。そして、ポケットから携帯を取り出す。


携帯には彼氏、もしくは自分で付けたであろうウサギや大量のストラップが付けられていた。


「この中には私の彼氏達の連絡先があるんだ」


それを開き、両端をもった千秋さんは...


「これが私の答えだよ」


バキッ


携帯を折った。


「千秋さん!?なにやって...!」


いきなりの行動に驚いた私に千秋さんは笑顔でいった。


「彼氏たちと全員別れたんだ」


「... ...!?」


驚いて声も出ない状態の私を気にせず、千秋さんは続けた。


「この2週間ね彼氏達と別れ話ばっかりしてたの。皆みんないい人で、優しくて、魅力的だった...」


本気だったと彼女は言った。本気で愛し愛され、博愛主義とか浮気とかではなく、全員を愛していたと千秋さんは言った。


「なら...何故...」


「鳳くんが...好き...だから...」


ボソボソと小さく言った言葉に私は心臓が破けるかと思った。


ずっとずっと言って欲しくて、でも諦めていた言葉。頭は熱湯をかけられたかのようになり、心臓は締め付けてきた。


なにより千秋さんが物凄く可愛くて綺麗で...そんな千秋さんを見ていた私は...


「あのね、私は隈が酷くて目も腐ってて...性格も面倒くさいとか捻くれてると言われるんだけど。そんな私でよけれ...







キスをしました






... ...んぐごもッ!?」


お姫様やファーストキスとかに相応しい、優しくて甘いキスではありません。


酸素も言葉も自由も全てを食らいつくす荒々しくて独占欲まるだしのキス。


「えっ!?ちょっま...んむむう!?」


いきなりの事で混乱し、暴れだす千秋さんの腕を掴み壁に縫い付けて強引にキスをする。


驚いてあたふたしていますが、もしかしたら演技かもしれません。いっそ舌でも入れてしまいましょうか?


「んんー!?んー!!」


キスはレモンの味といいますが、全然違います。物凄く甘くて丸で砂糖の味がする... ...これはきっと千秋さんがさっきまで甘いものを食べていたんでしょう。


どれ程時間がたったか分からないぐらいになったとき、私は唇を離した。


「はぁ...はぁ...ハハハっ」


息を整える途中に千秋さんは笑った。とても愉快そうに。幸せそうに。


「千秋さん」


「ん?なに?」


「私の恋人になってください」


「うん、いいよ」


アッサリとそういって、私の背に腕を回してきたので私もギュッと抱き締める。


私はこのとき、世界で誰よりも幸せだと確信しました。


「千秋、世界で一番愛してる」


「ありがとう」


もう一度顔を見合せ、今度こそ優しくて甘くて...お姫様に相応しいキスをした。

これにて完結です。本当に今までありがとうございました!次回作も楽しみにしていてください。


まさかほぼ毎日書くとは思いませんでしたよ...書かないと皆こないし...


ラジオに名前だけでも出た時は嬉しかったなぁ...読まれなかったけど。


これにて「似非ボッチの私が逆ハー女の親友になってた」の物語は終わりです。ありがとうございました。

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