表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/120

第97話 その後

「...私ね、ずっとずっと私ばっかり千秋ちゃんのことが好きだと思ってたんだ」


千秋は行かなければならない場所があるといってどこかへ行った後、胡桃は和人にそう言った。


「まぁ、千秋は結構感情を表に出さなんからな」


何時もどこか嘘くさく笑い、悲しいことも辛いことも言う意味がないとばかりに千秋は笑う。


それが胡桃には悲しくて仕方がなかったのだ。


「うん、千秋ちゃん何も言ってくれなかったんだもん...頼って欲しかったんだ」


「別に頼ったり、全部いうことだけが親友とちゃうで。誰しも調べられたく無い過去やってあるし、どんなに信頼しとっても教えたく秘密もある」


千秋の場合は自分の過去を恥と見ていた。父と母の仲が上手くいかず、新しい母からも風当たりが強いのは彼女にとっては恥であった。


「それは...分かってるよぉ..本当に子供っぽい事をしたと思ってるよ」


それでも、不安だったのだ。千秋は自分を親友だと思っていないと感じた時はとても悲しくて辛かった。


「それに...何か距離を置いてるし...学校の時とか何気に避けてたんだもん」


どこか困ったように笑い、どこか怯えているように反応する。


それが彼女の『』だと分かった今でもその真意を胡桃が分かる筈もない。


言葉も感情も押し付けようとする自分とは違い千秋は極力出そうとはしなかったのだから。


「それはな... ...胡桃に悪い虫を付かさへん為にやねん...」


「ふぇ?」


いきなりの言葉に胡桃は和人が何を言っているのかわからなくなる。


その反応をみて、予想通りだと思い苦笑いをしながら頬をかいて和人は話をつづける。


「うん...まぁその反応が普通やんな...このことに関してはぶっちゃけ千秋が悪いと思うわ...


千秋は学園での立場を知ってるから、胡桃と親友やと釣り合いが取れへんと思ってん。


それで自分なんかと仲良くしてたら[俺もいけんじゃね?]と勘違いしたバカが現れへんようにと、裏で色々牽制をしとってん」


例えるならば、娘に悪い虫をつかせたくない父親のような心境である。


「な...な...なにそれぇ!?全然分かんないよ!!」


まさかの真実に唖然とする胡桃。その反応は多分間違いではないだろう。


完璧に捻くれ、歪み、グニャリとした千秋なりの友愛はとても分かりにくく面倒くさいものであった。


「それ初めて聞いた時、俺も思ったわ...千秋ってホンマに何も言わへんからな...」


「そんな問題!?私の今までの悩みとか...結構、深刻だったんだよ!?」


「うん、せやからその事については千秋が全面的に悪い」


和人はそう言いきった。これに関しては弁論の余地もない。何も言わずにいた千秋が悪いのだから。



ようは、千秋も胡桃が大好きなのである。



その真実にやっと気づけた胡桃はへたりこんだ。


「はぁ~...でも嫌われてるんじゃなくて本当によかったぁ」


「それに今回の件で吹っ切れたと思うから、これからは遠慮なく傍におると思うで。


悪い虫がきたら正面からはたき倒すと思うし」


「そっかぁ...嬉しいなぁ」


和人の言葉を聞き、嬉しがる胡桃。そのすがたはまるで恋する乙女のようだ。


「そういえば...千秋ちゃんってどこに行ったの?」


行かなければならない場所と言ったが、それは何処なのだろうかと胡桃は疑問に思った。


「...そういえば千秋、最近男や女に刺される事件が多かったな(ボソ」


「ん?なんて言ったの?」


キョトンとした顔で胡桃は首を傾げる。


「なんでもあらへんで」


和人はそういい、二人の後輩が脳裏を横切る。


「(まぁ、あいつやったら認めてやらんこともないな。幸せにせーへんのやったら......俺が貰ったろ)」


和人は二人の男女を思い浮かべてそう結論づけた


「なあ胡桃は……千秋に恋人が出来たらどうする?」


「え?千秋ちゃんは沢山恋人がいるよ?」


そのことについては了承済みであったらしい胡桃に、質問の仕方が悪かったなと和人は思った。


……というか胡桃の常識を壊す程とは一体千秋は何人の男と付き合っていたんだ


「せやな……千秋に結婚相手が出来たらどうする?」


因みに胡桃の中では、千秋の恋人=友達。千秋の結婚相手=恋人。である。


そんな質問に対し胡桃は少しだけ悩む素振りをして


「千秋ちゃんが決めたなら……私はいいと思うよ。でもちょっと寂しいけどね」


「意外やな~胡桃やったら、絶対に認めないもん!とか言いそうやのに」


「う~ん……それは様子見って感じかな?」


「様子見?」


「うん、千秋ちゃんが幸せじゃないんだったら……私が無理やり幸せにするもん」


歪みの無い、邪気の無い……文字通り無邪気な笑みで胡桃はそういった。きっと彼女はそれをするだろう。


「ハハッせやったら安心し、あいつはちゃんと幸せにするから」


そういって胡桃の頭に手をおき、和人は愉快そうに笑った。

次で最終話です。...なにかここまで来ると感慨深いものがありますね~。最初は4話位で終わる筈だったけど、ここまで長く続くとは...


次は鳳くんと千秋の話です。これで最後かぁ~。よかったら感想ください。御願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ