表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

1.きっかけは喫茶店④

♦再会は、血の匂い


「綾さん、どうしよう…」

午前中の会計終了時に、同僚の子が不安を隠せないでいる。

綾「?  どうかしましたか?」

同僚「マイナンバー忘れている…」


同僚の手にはマイナンバーカード。名前を確認すると、あの喫茶店の亭主。

時間を確認し、午後の受付までには時間がある。

綾「私届けますよ。何度かその方のお店に行ったことありますし」


同僚がマイナンバーカードを忘れて届ける旨を、亭主に電話で伝えた。

病院の制服のまま、コートを羽織り、速足で喫茶店へ向かった。


喫茶店のドアには「clause」の看板が掲げられていたが、

入室許可を貰っていたので、ドアを開けた。


「あれ?」


綾「…!?」

あの男性がカウンター席に座っている。


ワイシャツの袖を捲り、タオルで手を覆っている。

綾「血…っ!怪我しているんですか?」

男「大したことないよ、慣れているし」


綾(慣れている…!! どんな生活しているんだ)


マイナンバーカードをレジ横に置き、

綾は小走りで病院へ向かう。


暫くして、喫茶店のドアが開く。

カウンター席に座っている男の前に、ビニール袋を投げる勢いで置く。

男「…君、大人しそうに見えて以外に体育会系…?」

綾「いえ、まあ、否定はしません…。

 本当はこんなことをしてはいけないんですが、」


袋から、消毒液・包帯・カーゼ・消毒綿等を出す。

男「今回は傷口浅いから、」

綾(今回は!? 何回もあるんかいっ)

 「一応、医療従事者なので、怪我人はほっとけないじゃないですか」


綾は出際よく、消毒綿を出し、傷口の周囲を拭く。ガーゼを覆い、包帯を巻きだす。

男「何も聞かないの?」

綾「何を聞くんですか?」

男「君、不器用…」

手に巻いた包帯が少しずれている。

綾「あの、私看護師でもないですし、ただの事務員なので…。申し訳ないですね」

少しイラっとして綾は答えたので、男は苦笑した。


男「君を怒らせるつもりはなかったんだ」


明日以降はご自身で包帯を巻いてください、と綾は残りのガーゼ・包帯を袋に入れ、テーブルに差し出した。


綾「!」

男は綾の手を握り、

男「今日のこと、お礼させて?」


綾(距離感…! パーソナルスペース近いっ)


男の顔が綾の顔を覗き込み、視線を合わす。まるで、獲物をロックオンした野生の動物の様に。

綾「お礼…?」

男「そう、お礼。ここの喫茶店で待っているね。来週の土曜日、14時で大丈夫?」

優しい問いかけだが、その優しさの裏に黒い影が漂う。


綾「急に仕事になるかもしれませんが、」

男「来るまで待つよ、私も夜から仕事なので」

よ、夜の仕事っ…⁉ 

綾「お大事になさってください」

逃げるように綾は喫茶店を飛び出した。


何か危ない人だ

入っていけない世界だ

ちょっと話すだけだし、あの喫茶店だし


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ