1.きっかけは喫茶店⑯
♦嫌じゃない…
蓮は殴られた頬に貼ってある冷えピタをテーブルに置く。
綾はまだ蓮に頬を触られたまま。
鼓動が激しく鳴っている。
蓮「もっと触れてもいいか?」
綾(やっぱ聞かれる…)
綾は頷き、恥ずかしいので蓮を直視できない。
蓮は優しく両手で綾の両頬を包む。
距離が近い。
温かい。
あまりにも優しい触れ方で、呼吸が止まる。
蓮は綾の顎を少し持ち上げ、
額にキスをした。
触れるだけのキス。
蓮「嫌だったら言えよ」
綾「…嫌じゃないです」
蓮はそっと綾を自分の胸に引き寄せた。
心臓の鼓動が煩くて、蓮に気づかれないか心配。
蓮「綾…」
名前を呼ばれ、綾は顔を上げる。
蓮がゆっくりと顔を近づけてきた。
唇が触れるか触れないかの距離で止まる。
そして、
そっと唇が触れた。
深くじゃない。
優しく、確かめるようなキス。
なのに、息が苦しくなるほど甘くて、
胸がぎゅっと締め付けられ熱くなる。
唇が離れ、蓮は綾の反応を確認するように
顔を覗き込む。
蓮「……もっと近づきたい。
お前が嫌なら、ちゃんと待つ」
綾「…嫌じゃないです。
嬉しいです…」
蓮「そっか」
蓮はもう一度、綾の唇を塞ぐ。
今度は長く、ゆっくりと、深く。
綾 ―私、蓮さんと一緒に居たい。
もっと蓮さんを知りたい。
唇が離れ、2人は見つめ合った。
恥ずかしいが、真っすぐにお互いを見る。
ムードを壊すのは悪いが、気になっている。
綾「……血の味がする…」
蓮「悪ぃ」
蓮の唇の血が混じっていた。
蓮は苦笑いをし、綾の頭を撫でた。




