第9話 変態の登校
「今日はじゃーん」
彼女は口枷を見せてきた。そして、それを口にくわえる。
その上からマスクをした。
あ、なんとなくやりたいことが分かってきた。
どこまで変態なのだろうか。
恐らく羞恥、そしてばれるかのドキドキ感で興奮するタイプなのだろう。
一応俺と白木さんは恋人と、他者の一般常識ではなっているが、知り合いに話しかけられたらどうするのだろうか。
友達はそれなりの数はいたはずだ。
やはり変態だ。周りにばれたら困る状況。それに興奮しているのだろう。
確か、一番人間が一番楽しい状況は、親に隠れてゲームしてるとき、もしくはテスト前にゲームをする状況だ。
やらなければいけない事がある、もしくはやましい事を考えながらゲームをするのが一番楽しいのだそうだ。
ばれたら社会的に死ぬ、という状況を楽しんでいる。
だけど、今の状況。大変なのは俺の方なんだけど、
何しろ、彼女が口枷をはめていることをばれたら困るのは俺も一緒だ。
俺も共犯になるのだから。
白木さんはマスクに手をもう一度充てる。
そして、その後二俺の手をつないできた。
この状況、本当に大丈夫なのだろうか。
「おはよー白木さん」
早速クラスメイトの子が俺たちに声をかけてきた。
白木さんは手を振りなおす。
この状況。白木さんは俺に対応して欲しいだろうな、そう思い、
「すまない。白木さんは声が出ないみたいなんだ」
俺がそう言うと、白木さんはうんうんと、頷いた。
怖いなあ。いつぼろが出てもおかしくない。
俺はひたすらに、ごまかしながら、進んだ。
そのおかげか、無事に学校までついた。
そして、学校の校舎裏で、白木さんはマスクを外し、口枷まで外した。
「ぶはっ。しんどかったあ」
そう言ってせき込み、そして、息を吸う。
「これ入る?」
「え?」
「私の唾液がついた口枷」
「いると言ったら、どうするつもり?」
「こうするだけ」
そう言って白木さんは口枷を僕の口に突っ込んだ。
口の中に白木さんの唾液が入ってくる。
女子の唾液。まさしく間接キス。しかも、ディープなものだ(勿論ディーブキスなんて経験したことがないが)
それは同じストローを使う、だなんていう話ではない。
そう、ドキドキが止まらない。
「そう言う感情あるんだね」
そう言って白木さんは笑い、校舎裏から去る。
……この口枷、どうしたらいいんだ。




