第8話 ペット
まだまだ陽は上っていないようだ。
そう言えば今はに六時なるかどうかの時間だ。
この時間に家を出るなんて久しぶりで、新鮮な感じがする。
「昨日以来の私の家ですよ」
「そうだな」
「楽しみだと思いませんか」
「毎日行ってるからな」
「また、エロい私を見られますよ」
「……」
やべえ、妄想してしまう。
あんなことやこんなこと。
縄で縛られた白木さんや、口枷をした白木さん。
ああ、なんか興奮してしまう。
ここは家ではないのに。
「変態ですね」
「君にだけは言われたくない」
屈辱だ。
そんな会話をしているうちに、彼女の家に着いた。
「じゃあ、さっそく私は山村君の奴隷になるね」
「なんだよその言い方」
「山村君には私をこの二時間いくらでもなぶっても襲ってもいい権利を上げます」
「だからさぁ――いや、何でもない」
今更何を言っても変態は何も聞かないだろう。
そして俺は彼女が並べた拘束具を見て直感する。
あ、今日もやばい事をするんだなと。
それもそのはず。
そして実戦と言ったが、彼女の腕と足は一つに折りたたまれているかのようになった。
そして、首につけられているのは首枷だ。
これは、犬?
そう、まるで犬なのだ。
これは流石にまずいだろと思う。
今日、奴隷を強調してたのはこういう事だったのか。
まあ、この場合、奴隷よりもペットが正解だと思うが。
「ご主人様。私をいじめてくださいワン」
その言葉に俺は唾を飲む。
不味い不味い不味い不味い。
これは、理性でどうにかなる問題なのだろうか。
「ご主人様、まずは私の背中に乗ってほしいのですにゃん」
ふざけている。
背中に乗る。
変態とはいえ、女子高生の背中に乗る。
「私は山村君の奴隷ですよ」
そう、俺を見て来る。
「遠慮することは無いですよ。私は奴隷。奴隷はご主人の悦びのために手を尽くすのが通例ですにゃん」
それがファンタジー世界ならな。
だが、ここは現実。
それに、彼女は借金苦で売られたわけでも、敵国の敗戦奴隷という訳でもない。
だが、志願奴隷ではある。
「分かった」
彼女は痛めつけられることをお望みだ。
了解だと、俺は彼女の背中に乗る。
だが、重さでなのか、そのまま倒れてしまった。
「流石に重かった?」
「これは流石に想定外です……」
さて、どうしよう。
「でも頑張ります」
そして彼女は手足に力を込める。そして俺を必死で持ち上げる。
「お」
手がびりびりと震えているのを感じる。
だが、まだまだ力を入れ、踏ん張っている。
そして、俺は完全に持ちああった。
だが、気分なんてものは良くない。
何しろ、苦しそうな顔をしているのだから。
「大丈夫、です。これが、奴隷の、悦びっですから」
「それならいいんだが」
やはり、流石のドエムだ。
だが、今にも崩れ落ちそうな土台。この上にこのまま乗り続けてもいいのだろうかという疑問が残る。
俺は体重はそこそこある。
決して軽くはないのだ。
「大丈夫か?」
俺はもう一度訊く。すると、「もう無理です」という答えが返ってきた。やはり無理をしてたんじゃねえか、と思いため息をついた。
その後、床にごろんと転がった白木さんはそこで倒れ込む。
本当に犬みたいだ。
もはや、なんかの動画を取っているかのようだ。それこそ、R15もしくはR18の。
何しろ、完全なアブノーマルな拘束だからだ。
こんなの普段から、特殊なプレイの動画とか見てないと思いつかないだろ。
そもそも俺も知らないし。こんな拘束具。
まだ、服を着ているからいいが、これが裸とかだったらと思うと。
一応、一緒に俺の家で寝た。
なぜ、この子はこんなに変態なのだろうか。
俺は近くの椅子に座る。白木さんを見ると、完全に寝ている。
仕方ない。
学校に向かう時間になったら起こすか。
そうしていつの間にか。7時半になったので、起こす。
「起きろ」
「くぅーん」
寝言が犬みたいになっている。
「起きてくれ」
そして俺は白木さんを起こす。
「はっ、もう朝ですか」
「朝だよ」
「なら、拘束を解いてください」
拘束具を付けるだけでも、大変なのに今度は脱がさなきゃならないのか。
外すだけで、なんかエロい気持ちになってしまう。
「今日はあまり責めてくれませんでしたよね」
「これでも不十分なのか?」
「不十分です、あまりいたくなかったですから」
痛くないって、結構大変そうだったのに。