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第七話 拘束姿の白木さん

 


「はあ」


 何とか眠れたようだ。

 スマホを見る。五時半。

 まだ起きるにはまだ早い。

 しかし、昨日の就寝時間が十時という事を考えれば、十分な睡眠時間だ。


 隣を見るとまだ白木さんは寝ているみたいだった。


 その穏やかな寝顔を見ているとほっとする。

 少なくとも夜中に寝られずに何度も起きた。なんてことはなさそうだ。

 しかし、この寝顔。目隠しのせいで白木さんの目は見えないが、白木さんも普通の少女なんだなと、見る目が変わりそうになる。


「可愛いな」


 普段は美人でミステリアスな印象の彼女だが、今は見る目を変えよう。

 普段から美人だと思っていたが、可愛らしい一面もある。

 エロい部分も布団をかぶってたらあまり出てこないしな。


 目隠し、口枷でエロいという感情よりもかわいいという感情が出てしまったのは、もう彼女の拘束姿に慣れてしまったからなのだろうか。



「なあ、白木さん」


 なんででそんなに変態なんだ。

 そう訊きたいよ。

 俺には理解が出来ないんだから。なぜ、そんなに自由を縛っているのかと。


 白木さんは囲い何かあったのだろうか。自由を縛るという行動が好きになるくらいに。痛めつけられるのを好むくらいに。


 とりあえずこの部屋に居ては、いけない。

 何となく心の中で高まる感情が抑えられないのだ。



 とりあえず俺は別の場所へと向かう。

 今のままだと襲ってしまうかもしれない。それは白木さんも了承済みだろう。

 だけど、だめなものはだめなのだ。


 トイレだ。とりあえずトイレをしたい。おしっこが漏れそうだ。

 トイレに行って尿を出す。

 それと伴い、なんか昨日からたまってた何かが流されていくかのようだ。


「はあ」


 そして、スマホをいじる。

 俺の家は一人暮らしという事もありそこまで広くない。

 ホテルの部屋みたいなものだ。

 リビング、寝室、トイレ&浴室。これだけだ。




 とりあえずリビングに行き、アニメを見る。

 とはいえ、テレビで見るのではなく、アイパッドでだ。

 いつも見てるアニメが昨日配信で、楽しみにしていたのだ。

 このようなことを言うと白木さんのせいという言い方になってしまうかもしれないが、昨日はドタバタしていたせいで、見れていなかったのだ。


 そして、アニメを見る。

 うん、今回の話も中々面白い。

 前回までの話も面白かったが、今回も面白そうだ。


 ちなみにエロいシーンとかはあまり出てこない。

 ただの異世界戦闘系アニメだ。


「モガッ」


 そう寝室から聞こえてきた。

 俺はテレビを――Bパートの最初だったが――を止めて、白木さんのもとに行く。


 白木さんが暴れている。そうか、意志を伝えるにはこの方法しかないもんな。

 拘束を解いてほしいという話か。


 俺はひとまず、戸棚の中に置いてある拘束具のカギを取り、それを白木さんの自由を奪っている拘束具のカギ穴に差し込む。


 するとすぐに拘束具は綺麗に外れた。

 そしてその後、口枷を外す。


「ぶはっ」そう、可愛らしい声を白木さんが出した。

 目隠しも外してあげれば、無事に白木さんは自由な世界に復帰した。


「やっぱり、拘束睡眠はいいですね。いい感じに不自由でキマリそうです」


 まるで麻薬みたいな言い方だな。


 なんでそんなに拘束が好きなんだろうか。

 過去に何かあったのか。

 もし訊いたとて、教えてくれるわけがないよな。


「それよりも山村君。これはアニメですか」


 そう、Bパート最初で止められているアニメを指さしながら、白木さんが言った。


「ああ、そうだ。とはいえ、エロくはないけどな」

「それは構いませんよ。それより私にも見せてください」

「ああ、いいよ」


 とは言ってもストーリーしってるのかな。

 軽く説明した方が良いかもしれないな。


「この話は、異世界転生ものなんだが、その転生先で、犯罪者に仕立て上げられ、逃亡劇の中犯人を見つけようとする話なんだ。そしてその犯人が、世界の敵と呼ばれるものの仕業で、転生者の立場を悪くするための策略だったというとこだな」


 本当にざっくりとした説明だ。

 だが、俺にはこれ以上の説明はできない。

 そもそも、白木さんがこういったアニメを見るとは思えないんだよな。


「なるほど」


 そう言って俺の隣に座る。

 その瞬間、彼女から匂いがした。これは汗か。


「暑かったのか?」

「ううん。そうじゃないと思いますけど、汗出てますよね。多分暑かったんだと思います。夜何度も目が覚めましたので」

「夜に目が覚めてたのか?」

「ええ。まあとは言っても、直ぐに眠れましたし、十分不自由を体験しましたけれど」

「そうか」


 なら良かったのか。


「それよりも中々激しい戦闘ですね。なんかバーンとかなってて面白そうです」


 途中から見て理解できるのかどうかっていう話だが、楽しそうならよかった。


「私は主人公のキャラ結構好きです」


 主人公、ラース。黒上で、マントに身を包んでいるクール系のキャラだ。

 しかもショタ属性まである。


「まあ、主人公が結構人気のアニメだからな」

「ですよね。後はこの子が……」


 そこまで言った所で、彼女は手で口にふたをした。

 きっと、拘束したいとでも言うつもりだったんだな。

 危なかった。また彼女のエロを開放してしまうところだった。


「あ、あと。今日はちょっと早めに、家に帰りたいです」

「回収のために?」

「ちょっと今日はまた学校前に虐めてほしくて。奴隷らしく」


 ああ、またか。

 相変わらずのど変態だな。


「分かった」


 まあ、虐めるが。

 それが白木さんの希望そのものなのだから。


「とはいえ、あまり傷とかはつけないで欲しいですけど」


「回復に時間がかかりそうなもの」と言って、「うふっ」と笑う彼女。


「じゃあ、見終わったら行きましょうか」

「制服は着させてくれ」

「それを言ったら私もですよ。あっても、家でシャワー浴びてもいいかな」

「いいよ」


 汗を流したいのだろう。

 そしてアニメが終わり、制服に着替えたところで家を出る。


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