第四話 カレー
「なんだか、今まであまり思ってなかったけど、下着に縄ってすごいな」
胸が強調されてしまっている。
「そうですよね。なんだか、エロい気持ちに成れちゃいます」
それはおれもそうだ。今の俺はエロ猿なんて言われても、何の反論も出来ないだろう。
逆に今の白木さんは変態だと言われても何の反論もしてこないだろう。
それほど、俺たちの今の状況は変態なのだ。
「あ、そうだ。私にご飯食べさせてくれませんか?」
「ご飯を?」
「ええ。今までできなかったシチュエーションなのですよね。縄で縛られた少女がご飯を食べさせてもらうのって」
「そりゃまたエロい妄想だな」
これもまた、エロ漫画にでも出てきそうなシチュエーションだ。
「そうでしょ。そうでしょ。以下もこれの偉いところって、おかずが私じゃないですか。だから、妄想しても怒られないのです」
確かに、男子が同級生の女子に対してエロい妄想したら怒られる。
無論それは同性だとマシにはなるが、それでも引かれるだろう。
だが、自分で自分のエロい妄想をする分には、性的搾取をされる人はいなくなる。
ダメな理屈が無い。
「でも俺が興奮すると思うぞ」
「それは仕方ありませんし、むしろ興奮してください」
「興奮されるほど、興奮するからか?」
「そうです。二日目なのにもう私のことをよくわかるようになってるじゃないですか」
確かに。まだ二日しか経っていないのに、段々と分かってきた気がする。
とはいえ、まだそこは計り知れないところがあるのだが。
「まあとりあえず何を食べさせたらいい?」
「カレーの残りがあるのでそれをお願いします」
その言葉に従い、台所に行くと、カレーが置いてあった。
これの事かなと思い、それを皿に入れる。
「目隠しもお願い」
そう言われ、俺は彼女の目に目隠しをかける。
そして。
「あーん」
そう俺が言うと、彼女は口を大きく開く。
なんだかエッチだ。
エッチすぎて本日何度目かのいけない事をしている気分だ。
「なあ、美味しいか?」
「美味しいよ」
そう、手を後ろにがんじがらめに拘束されている彼女が言う。
「こういうシチュエーション普通に憧れだったのです。本当は、カレーを頭に賭けてもよかtぅたのですけど、流石に罰当たりすぎるので」
「お湯だったらいいのか?」
「お湯だったら大歓迎です」
「流石にしないよ」
それは流石にリスクが高すぎる。
やけどのリスクもあるし、流石にそれはレベルが違う。
冗談でやって良い事とは思わない。
「それよりもお腹空いてるから、次食べさせてくれませんか?」
「お、おう」
そして俺はいくつもカレーを食べさせていく。
「しかし、本当にありがたかったです。枷じゃなくて縄の拘束となると一人でするのは難しいのですよね。だって一回しまっちゃうともう終わりですから」
「縄抜けとかできないのか?」
「私だって忍者じゃないんですよ。流石にそんなスキルはないですし。……漫画の読みすぎじゃないですか?」
「悪かったな」
もしかしたら忍者の一族の末裔だったとか言う可能性もあるだろ。って、それこそ漫画の読みすぎか。
「白木さんって、なんでこんな性癖になったんだ?」
「……それ訊きますか?」
鋭い目でにらまれた。
あくまでも主導権はこっちにあるぞとでも言いたそうな感じの目だ。
「あくまでわきまえてください。私の性癖に訊くなんて。確かに私は山村君の奴隷ですけど」
「なら教えてくれても」
「これはだめです」
明らかに雰囲気が変わり、機嫌が悪そうだ。
俺はこの問題にこれ以上関わらない方が良いと本能が告げている。
これ以上首を突っ込んだら死ぬ。
「だからお詫びとして暫くは私の事を放置していて」
「目隠ししたまま」
「当然」
当然なのか。
「ちょっと待ってほしい。俺はどう過ごせばいいんだ?」
「私は山村君の奴隷だから、自由に物として扱ってくれたらいいよ」
「……そう言う話じゃなくて」
俺の目のやり場が困るという話だ。
それに忘れかけてはいるが、一応ここは女子の家だ。
見られて困る物もきっとあるだろう。
いや、無いな。
大体こういう場合のみられて困るものは下着姿が思い当たるが、そもそもの今の彼女の姿は下着姿なのだ。