第二話 体育倉庫での責め
翌日。学校に向かう。
昨日の出来事は今も夢のように思う。
まだ、信じられないのだ。
白木さんとの先日のあの出来事を。
「おはよう、徹」
教室に入ると、俺は親友である皆木徹に話しかけた。
高校入学時に隣の席になって仲良くなったのだ。
「結局昨日の手紙は何だったんだ?」
学校に来て早々、そんなことを訊かれた。
そりゃ、気になるよな。
「告白の手紙みたいなものだ」
まあ、四捨五入したら告白の手紙だよな。
真実をそのまま伝えたら徹の脳がバグる可能性がある。
これは致し方ないことなのだ。
そりゃ、いきなり「奴隷にしてください」なんて言われたなんて言ったら徹の脳がバグる可能性がある。
「おはようございます、悟君」
その瞬間、白木さんから話しかけられた。
「ああ、おはよう」
俺は返す。
だが、なんと間の悪い。
ちょうど白木さんの話をしてたところなのに。
そして、白木さんが通り過ぎた後、徹が強く俺の肩を叩き、
「少しいいか?」
そう言われた。
「相手は、白木さんなのか?」
「ま、まあそんな感じだ」
だが、告白されたわけでは無いのがややこしい事だ。
何しろ、俺は告白されたわけでは無く、奴隷にしてくださいとお願いされただけなのだ。
俺はその関係を受け入れるつもりだが、今も彼女の性癖に関しては全く持って分かっていない。
ドMの、責められるのが好きであることは分かっているが、奥底に潜む彼女の本性についてはまだ計り知れない。
それを言ったら今の俺は俺の事を計り知れてないのだが。
何しろ、昨日の俺はまるで別人だったのだから。
「よかったな彼女出来て」
「いや、正確にはカップルになったわけでは無いんだよな」
「それはどういうことだ?」
「……複雑な関係だ」
まさか本当の事を言えるわけがない。
が、うまいごまかし方が分からない。
「ただ、今はかなりのものになっているんだから」
かなりの物(意味深)だ。
「そうか」
徹が渋々ながら、飲み込んだ様子を見せる。
そして昼休み。
早速DMから通知が来る。
『もう出てきてもらっていいですか?』
今日は学校でも変態ごっこをするという事なのか。
徹に別れを告げ、俺は白木さんの元へと行く。
そして連れられた場所は体育館倉庫だ。
「ここなんですけど」
そう言うと白木さんはカバンの中から物を取り出して来た。
拘束具だ。
今まで授業中もずっと持っていたのか。
それを手に持つと、白木さんは早速ドアに外から開かれないように、物で蓋をした。
ここは倉庫。とは言っても普段使われるメジャーな方の物ではない。
普段は使われないようなものが置いてあるような場所だ。
つまり、昼休みの学生には入られることが無い。
「なるほどな」
俺はそう呟いた。
ここなら安全にリスクを感じられる、か。
「どうしてもここでやらないといけないのか?」
「はい、勿論です。こういった場所でのいけない事が、大事ですから」
やっぱりか。
「しなければ先程の写真をばらまきますよ」
「分かった、分かった」
勿論、断るわけには行かないし、断る理由もさほどない。
強いて言うなら、ばれるリスク位と言った所か。
「後、あまり大きな声を出さないでくださいね。私は今退学になるリスクを抱えているのですから」
「あ、ああ。分かった」
そして、彼女の言うままに、目隠しをした。
無論、音が出るビンタや、むち打ちなどは求めていないらしい。なら何を求めているのか。
それはというと、放置プレイだ。
彼女を拘束具で手足を拘束して、跳び箱の上に座らせている。
「これ、何か意味とかあるのか?」
「無いですよ。ただ、私は今、真っ暗な怖い状態にいるのです」
「それで、俺がここに居る訳とは?」
「それは簡単です。単なる放置プレイだと、時間が分からなくなるというリスクがありますので」
「リスク……」
「はい。だって、時計が見れないじゃないですか。それに、放置から逃れる手段がないんです」
「いつもはどうやってるんだ?」
「それは単純に、時間差ロック解除にしてますけど、それじゃあなんか違うくて」
「なるほど」
今の彼女は手足を拘束され、目隠しされている。
エロい。
「そうだ、私に口枷もつけてくれませんか?」
「いいのか、それをしたら完全に自由が奪われるんだぞ」
「その代わりに私のマッサージをお願いします」
「音を出したらダメなんじゃなかった?」
「少しくらいならいいですよ。壁も厚いですから」
「しかし、マッサージっていったいどうすれば」
「大丈夫ですよ。私の肩を揉んでいただければ」
「こうか?」
俺は白木さんの肩を揉む。
うん、少し緊張する。
「ああん」
そして変態的な声を出さないで欲しい。
「胸も揉んでいいですよ」
何でだよ。
「じゃあ、口枷を」
そう言ったので、俺は口枷を彼女の唇に持っていく。
「できれば苦痛を与えられたかったのですけど、それはのちのちですかね」
結局いつかはする気なのか。
恐ろしい。
そして彼女は口枷を噛む。さらにエロくなっていく。
白木さんの唇に色っぽい感じが見える。
おっと、こんなことをしている場合じゃない。
そして俺は彼女の肩を揉む。胸も揉んでいいとは言われたけれど、流石にそこまではしない。普通に犯罪だし。
いや、それを言ったらこれもギリギリなんだけど。
しかし、ただ、肩を揉むだけというのも、もどかしいな。
昨日二人で愉しんだからか、もっと過激な事をしたくなる。
胸を揉むとは言わないが。それよりもだ。
今の彼女は下着姿ではない。ただの、制服姿だ。
ただ、少しだけそそられる。目の前で制服の美少女が目隠し、口枷をはめられて拘束されている。
この状況を前に欲望を抑えられるわけがない。
しかも目の前の白木さんは変態なのだ。
俺は、彼女の背中を制服越しに、ツーと軽く触っていく。
彼女の肩がビクンっと跳ねる。
俺的にこれで満足だ。
だが、彼女は最初こうも行っていた。
音を立てなければ、苦痛を味わうものもしたかったと。
ならば、
胸なんて揉まない。だが、彼女にもっと、苦痛を味会わせたい。
俺はふと、彼女の長髪を掴んだ。
そして、少しずつ引っ張る。
「むぅぅいぅ」
彼女はもがく。だが、拘束は外れない。
口枷のおかげで、声もあまり漏れない。
そして、彼女の立場上、叫ぶこともできない。苦痛に必死で耐えているようだ。
俺は少し興奮しだした。
もっと引っ張るか?
いや、ここは敢えて外す。
そして、俺は近くの椅子に座った。
椅子とは言ってももう一個の跳び箱の上だ。
こうして意地悪く見ていよう。
今頃彼女の思考の中には、いつ俺に髪を引っ張られるか分からない恐怖が滲み込んでいるはずだ。
これで、何分か置きに髪の毛を引っ張る。
自分では逃れられない中、数分おきに刺激を与えられる。
それが今彼女が一番好む事だろう。
そしてそれは三十分まで続いた。
俺は拘束を解いていく。
だが、ここで少し怖い事を思う。
何しろ、俺は俺の意思で勝手に動いた。もしも彼女が、望まないことまで屋tぅてたらどうしようと。
「あは」
口枷をほどいた瞬間、彼女はそう言って笑った。
「楽しかったです。感謝しますね」
「お、おう」
「しかし、胸位揉んでくれてもよかったですのに」
「それはダメだろ。俺は男で、白木さんは女なんだから」
「それは気にしませんよ。それも単なる責めの一つですから」
気にするというか、普通にそれだとセクハラだ。
そもそも、展開が完全にエロ漫画のそれになるじゃないか。
俺はまだ健全を保っていたいんだ。
もはや、手遅れかもしれないし、一月後くらいに普通にもん出る未来が見えるが。
「しかし、やはり期待通りでした。私だけでもできたのですけど、やはり責め手も必要ですから」
「お、おう」
「では、教室に戻りましょうか。ちなみにですけど、勘違いされると困るので、彼女という事にしてくれませんか?」
「彼女?」
「先ほどもそのような話をされてたのでしょう? だからそちらの方が都合がいいかなって」
「分かった」
俺は頷いた。
一応偽造とはいえ、人生初の彼女だ。
しかも、憧れの人と。
「それでは、教室に戻りましょうか。彼氏様」
その白木さんの言い方は、なんだか別の意味が入っていそうな彼氏様だった。