第12話 病気
「三木さん」
俺は口にする。なぜ彼女がここにいるんだ。いや、それよりも今の状況はまずい。
今俺は休んでいるはずの、白木さんと一緒にいる。しかも、その周りには縄。
これは隠し通せる気がしない。所謂罪の状況だ。
「これはどういうことなの?」
目の前の、白木さんは完全に寝てしまっている。
つまり俺一人で、この問題を解決しなければならない。
「白木さんが体調不良だから」
「ならなんで学校にいるの、それにこの縄は」
三木さんは縄を拾う。
「後で説明する」
俺は静かにそう言った。
「とりあえず俺は白木さんを家に送る。俺は早退するって連絡してくれ」
「分かったわ。でもとりあえず」
そう言って、白木さんはスマホを差し出してくる。
「何ですか?」
「交換しましょ」
逃がさないみたいだ。
俺に後で連絡させるという事なのだろうか。
「分かった」
そしてラインを交換して。
そのまま家まで連れて帰る。おんぶをしながら。
幸い人の往来は少ないみたいで、そこまで目立たない。
そして、白木さんの家に連れて行った。
白木さんをベッドに寝かす。この間に、白木さんは目が覚めてない。
俺は白木さんの手を取る。脈を取る。
医師じゃないため、詳しい事は分からないが、恐らく正常だ。
死の危険なんて言うものは無いだろう。
もちろん俺にはそれしかわからないのだから。
さて、俺は今白木さんの家にいるわけだが、
白木さんには悪いことをしているな、と思う。
彼女のカバンから鍵を勝手に取り出して勝手に家には行っているのだから。
本当はさっさと家に帰りたい。だけど、病床の白木さんを置いていくわけにはいかない。
「お母さん」
そんな時、白木さんが声を出す。
「お母さん、止めて。ぶたないで」
弱々しい声で言う。悪夢でも見ているのだろうか。
しかし気になる言葉だ。
虐待されていたのか?
彼女のうわごとからすると、そう思われる。
しかし何で。彼女が拘束、そして虐められることを望んでいるのは、そう言う事なのだろうか。
虐待されたことから、虐待依存症になっているのだろうか。
俺には、白木さんの事はよく分からない。
何も知らない。だけど、もしそうだとしたらなんて可愛そうなんだと思う。
だけど、俺からしたら嬉しい事ではあるんだけれども。




