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第0話 皆の過去

新✭連✭載!いぇ〜い!

因みにこの話は医学の事が少し書かれますけど、無知識の私が書いている物なので病気の症状が少し違うかも…!

_父が政治家。


「家政婦さん!見て!かわいいでしょ!」

 母親と同じくらいの年齢の家政婦の前で可愛らしいワンピースの裾を妖精の羽のように翻す。

「おやおや、可愛い妖精さんだね」

 私の頭を撫でてくれた。

「ふふふ」


(やっぱり、可愛い洋服を着るのは楽しい…!)



「おい、夕食はまだか?」

 この時間になると必ず家政婦の下に訪れるお父さんを私は待っていた。

そのタイミングでそっと家政婦が部屋から出る。2人切りにしてくれたのだろう。

「あ、見て見て!お父さん!これ、私がコーディネートしたの!」

 

(いつもおこってるお父さんがこの洋服でお母さんが居た時みたいに笑ってくれるかも!)


 ただただお父さんが喜んでくれるだろうと思っていた。

喜び(それ)以外は無いだろうと思っていた。否、信じていた。

「何だそれは?気色が悪い」

 顔を顰め、吐き捨てる様に言われた言葉は私の耳にしっかりと聞こえた。聞こえてしまった。


【気色が悪い】


この言葉だけは言われたくなかった。

皆、み〜んな私の事をその言葉で拒絶する。

「な、な〜んて!お父()の子供の私がこんな服を着るわけないじゃん!」

 ガラガラと何かが壊れていく。

「やはりそうか。流石私の子だ。この私も騙されてしまったよ」

 優しく頭を撫でてくれた。

「わ〜!えへへ」

 その様子を見て父は顔を綻ばせる。


(私は今、ちゃんと笑えてる?)


_母がスポーツマネージャー。


「ねぇ、本当に大丈夫?」

 母さんが私を心配してくれている。

「全然大丈夫だよ!」

 安心させる様にニパッと笑う。

「ごめんね、母さんがちゃんと見ていれば…!」

 謝っているのは『義足』の事なのだろう。

「大丈夫だって。私が下校中に周りを見てなかったのがいけないの!しかも、大事故だったのに、ひざ下の切断だけじゃん!」

 これは嘘。本当は虐められていた子猫が道路に逃げ出してそれを庇ったからだ。

「ごめんね、ごめんね…!」

 『ひざ下の切断』の言葉で私が病院で入院している姿を思い出してしまったのだろう。母さんは泣き崩れてしまう。


(ごめんはこっちだよ…!母さん1人で私の多額の治療費を出してくれたんだから!!じいちゃんとばあちゃんは歳で母さんが面倒を見なきゃなのに…。手間かけさせちゃったな…)


「私が大人になったら恩返しするから…。それまで面倒をかけるね…」

 私の呟きは茜色に染まった空に消えて行った。


_両親が医者。


「今日は、病院の見回りを一緒にして来よう」

 医師の休憩室に居た私の手をお父さんが引っ張る。

「いや!!!あそこはこわいんだもん!!」

 プイッとそっぽ向く。

「行くぞ」

 ヒョイと抱き上げられ病院に連れて行かれる。

「ヤダーー!!!」

 そのまま、院内に入った途端。

「うぇ〜ん!」

「まーくん、お注射頑張って偉いね」

「うちの子は本当にそれで治るんですか!!?」

「ママ〜何処〜!?」

 ザワザワとした声がブワァ〜ンと私の耳に響く。

それが酷く不快で恐ろしかった。

「いや!!いやぁ!!!」

 思わず叫んだ。

「五月蝿いぞ。少し声量を落とせ」

 顔を顰めて叱られた。

「ここはいや!!!いや!!!」

 更にバタバタと腕の中で暴れる。

「院内ではお静かに」

 違う医師にも叱られてしまった。

「申し訳ありません!」

 ペコッとお父さんは頭を下げる。

その隙に私は腕の中から抜け出し、出口に駆け込む。


〔ピーポーピーポー〕


 救急車のサイレンがもっともっと大きく聞える。

咄嗟に蹲り、耳を塞ぐ。

「退きなさい!」

 血塗れでぐったりした女の子を担架に乗せた救急隊員にも叱られてしまったのでそそくさと耳を塞いだまま逃げる。


(こわい!!こわい!!こわい!!!!)


 何処に行っても不快な音、音、音。安息の地など無い。


「誰か助けて…!」


_過干渉してくる家族

 

「お母さん!私、舞台女優になりたい!伯母さんみたいなかっこいい舞台女優!」

 この夢を優しい家族は応援してくれるだろうと思っていた。

「ん?何を言ってるのよ。あの人みたいになりたいなんて頭がおかしいんじゃないの?」

 そう言われた瞬間、足が冷たくなった。

「ハァ、良い?これは貴方の為に言うんだけど、伯母さんみたいに結婚しないなんて、優しくか弱い貴方が社会に潰されて不幸になるんだから止めておきなさい。それに『舞台女優』なんてただのお遊戯じゃない」

 蟻を足で踏み潰す様に壊れたのは私の『憧れ』『夢』『優しかった家族の虚像』。代わりに埋めるのは『恐怖』『羞恥心』『虚しさ』。


(ただのお遊ぎなんかじゃない!人の心を強く揺さぶり感動させる、すごいモノなのに!!!でも、これを言ったら私は家族()と違くなっちゃう…!)


 急に汗がダラダラと垂れる。

「そうだね。た、だのお遊ぎだよね…あはは」

 苦しい。ただのお遊戯なんかじゃないのに、と心は怒り狂っているが口には出来ない。


(こんなに苦しいのをずっと抱えなくちゃいけないの…?)

面白かったら、☆とブックマークをよろしく!

この連載は出来たら投稿すると言う不定期です…!

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