閑話 基本法典 その1
仏曉学園高等学校生徒による学園自治における宣言ならびに権利の章典
前文
我ら仏曉学園高等学校生徒は、学園自治の高邁なる理念のもとにのみ行動し、我らと我らの後輩のために、あらゆる階級門地より出でる学園生徒の協和による成果と、我らが学舎全土に普くもたらされる自由の恵沢を確保し、学園生徒の意思なき不当なる権力の行為によって再び階級闘争と総括の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに学園自治の権利が学園生徒に存することを宣言し、この章典を確定する。そもそも学園の運営とは、学園生徒の厳粛な信託によるものであって、その権威は学園生徒に由来し、その権力は学園生徒の代表者がこれを行使し、その福利は学園生徒がこれを享受する。これは学校教育を受ける生徒が護持すべき民主主義の普遍の原理であり、この章典は、かかる原理に基くものである。我らは、これに反する一切の行為、理念及び慣習を排除する。
学園生徒は、階級間の和解による恒久の平和を念願し、学園生徒相互の関係を支配する崇高な自由と平等、博愛の理想を深く自覚するのであって、平和を愛する学園生徒の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した。我らは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭、闘争と総括を学園から永遠に除去しようと努めている全ての学園生徒の総意として、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに学業に努め得る権利を有することを確認する。
我らはいづれの学園生徒も、己のことのみに専念して他者を無視してはならないのであって、学園自治の理念への協賛とそれへの主体的な参画は、自己他者をも包摂する全体への奉仕であり、これに従事することは、学園生徒の責務であると信ずる。
我ら仏曉学園生徒は、学園と生徒会の名誉にかけ、全力をあげてこの学園自治の崇高な理念と目的を達成することを誓う。
第1条
仏曉学園生徒は、自由かつ諸権利において平等なものとして学園にて生存する。学園内における社会的区別は、公共の利益の侵害における刑罰の考慮にもとづいてしか行うことはできない。
第2条
学園内に存在するすべての政治的結合の目的は、生徒の自然かつ消滅しえない諸権利の保全と学園自治の理念の遂行のためにある。これらは、自由、自治、安全および圧政に対する抵抗である。
第3条
学園運営におけるあらゆる物事及び原理は本質的に学園生徒の一存に帰される。いかなる団体、いかなる個人も、学園生徒の総意から明示的に発するものではない権威を行使することはできない。
第4条
学園自治とは、学園生徒によって主体的に学園が運営されることである。したがって、学園は学園生徒の合意を得た諸権利の行使以外の行動は容認されない。そしてまた学園のとり得る行動は、学園生徒の自然的諸権利の保全と学園自治の理念の遂行のための能力を確保するということ以外には、限界をもたない。この限界は法によってのみ決定され得る。
第5条
法は、学園及び自治に有害な行為のみを禁止する権利を持つ。法の禁止しないすべてのことは妨げられず、また、何人も法が命じないことをなすように強制されることはない。
第6条
法は一般意思の表明である。すべての学園生徒は自ら直接またはその代表者によってその形成に参加する権利を持つ。法は、すべての学園生徒にとって同一でなければならなず、また法の下に平等である。学園生徒は、各々の能力に従って、かつ、その徳性と才能、学力以外による差別をうけず、学園自治に係るすべての公的な位階、地位、職務に等しく就く資格を有する。
第7条
学園生徒は、法が定め、かつ、法が規定する手続きに従う場合以外、非難され、訴追され、また総括されることはない。恣意的な命令及び総括を要請し、発令し、執行しまたは執行させる者は、いかなる場合であっても処罰されなければならない。しかし、法により召喚されまたは法廷での証言を求められた学園生徒は、ただちに従わなければならない。抵抗する者は有罪となる。
第8条
法は厳密にかつ明確に、公共の利益を侵害した事実に対しての必要な刑罰と学園生徒の有する自然的諸権利の保全、学園自治の理念に基づく統治行為および体制を定めなければならず、かつ、学園生徒は、制定され公布された法が規制する以前において許された行為を法の施行後遡及して咎められることはない。
第9条
すべての学園生徒は、たとえ学園自治の理念を冒涜し侵害しようと試みた場合であっても、法による処罰以外のいかなる暴力及び強制を受けない。
第10条
すべての学園生徒は、たとえいかなる政治信条を抱いていたとしても、その意見の表明が法の定める公の秩序を乱さないかぎり、その意見によって処罰されない。
第11条
思想および意見の自由な伝達は、学園生徒の学究に資するもっとも貴重な権利の一つである。したがって、すべての学園生徒は、自由の濫用に相当すると法が定める場合をのぞき、自由に話し、書き、出版することができる。
第12条
学園自治及び学園生徒の諸権利を保障するためには、公的強制力が必要である。したがって、この力は、学園自治及び学園生徒の利益のために設けられるのであり、それが委ねられた者の特定の利益、思想のために設けられるものではない。
第13条
公的強制力の維持のため、および行政の支出のため、学園生徒による金子の拠出が不可欠である。それはすべての学園生徒のあいだに、学園生徒の合意の下、平等に課されなければならない。
第14条
すべての学園生徒は、自らまたはその代表者により、公のための資金の必要性を確認し、それを自由に承認し、その使途を追跡し、かつ、その分担額、基準、徴収および期間を定める権利をもつ。
第15条
学園生徒は、学園運営に携わるあらゆる者に対し、その行政について説明を求める権利を持つ。
第16条
学園生徒の総意によらない公的強制力及び法は無効である。
第17条
学園自治は、学園生徒に認められた不可侵のかつ神聖な権利であるから、何人もこの権利を奪うことはできない。




