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夫が正気に戻りつつあります

 ごきげんよう。

 ラファエラです。


 憤懣やるかたないレベルにご機嫌斜めよ。


 毎晩、夫にぴったりくっついて混乱を解除すること1週間、ようやく半分くらい混乱が解けてきたところで、問題が起こりましたわ。


 夫が正気を取り戻しつつあるのです。


 それで、自分に纏わりついている瘴気を嫌って、皮膚が爛れるまで身体をこすり洗いしておりましたわ。


 仕方がないので、身体の外にくっついている瘴気は「パージ」で全部引っぺがしましたわ。


 痛かったでしょうね。


 わたくし、夫を魔法で寝かしつけた後、ぴったりくっついて混乱を解除しているでしょ?

 その間、二人の身体が一塊になることで、瘴気がわたくしの身体にも乗り移ってきますの。均一に分散しようとするのですわ。


 だから、毎晩、施術が終わった後は、わたくしも自分の身体にパージを掛けますの。

 これがピリピリして痛いの。


 夫にくっついているのを一気に全部取ったら、気を失ってしまいましたわ。

 ええ、ええ。

 ものすごく痛かったでしょうね……

 可哀そうに。


 でも、お陰で表面の瘴気がなくなって、夫にくっつかなくても、魔力透視で魔導回路が見えるようになったわ。


 明日からは、体内の魔導回路からにじみ出てきた分ぐらいなら、瘴気をパージしても気絶するほど痛くはないでしょうから、その後、遠隔でデスペルできるようになりますわね。


 ぴったり貼りつく必要はなくなりますわ。


 しかも、麗しいお姿を見ながら施術できますから、モチベが上がるってものよ。

 寝ているから、瞳は見えないけれど、綺麗な金髪に整ったお顔。


 とても素敵なのよ。



 それにしても、正気に戻ったら、自己嫌悪で壊れそうになるなんて、何でも直せばよいわけではないところが、難しいわね?


 とったのは「混乱」だけで、更に強固な「魅了」が残っていると知ったら、またおかしくなっちゃうかしら?


 塩梅が難しいわ。



 ところで、神聖国の神官を従者として着けてもらえたおかげで、調査が少し進んだわ。

 諜報能力も素晴らしいの。



 夫の元婚約者は、侯爵家の令嬢で、混血系の旗印の娘よ。


 ブライト国の起源は、輝きの森に人族のセントリア帝国が出来た頃に、追い出されるように移住した魔族に始まるの。


 でもセントリア帝国に残ったブライトの民との交流はある。

 そして輝きの森で混血化したブライトの民がブライト国に入ってくるから、民の混血化が進んでいる。



 つまり、何?


 18年前、神聖国から聖女の誕生を知らされた時、ブライト国内の「混血派」が既に優勢だった。

 だから、純血統の筆頭みたいなダジマットの姫は「いらない」と言われた、と解釈してよいかしら?


 そして王太子の婚約者は、混血派の令嬢となった?


 ブライト国は、王家を混血化させたいということよね?



 でも結局、純血統の王太子である夫は、権限を奪われた後、純血統のわたくしがあてがわれた。


 純血統は、純血統で残す必要が出てきたってこと?


 もしかしたら弟君では「聖女の血統」を維持できないのかしら?


 ブライト国には、「聖女の血統」と呼ばれる魔族の血統管理のマスターシステムがあるの。

 魔族が神前式を上げると、神官が新郎と新婦の血統を結んでくれるわ。


 魔族令嬢の憧れの儀式よ。

 もちろんわたくしも。


 基本はファミリーツリーだから、純血統も混血系も関係ない。

 ただ、魔族の血の濃さでツリーの色が変わるだけ。



 人族の家系図によく似ているけれど、養子に出たら家系図に変更が生じる人族版と違って、血統書は養子に出ても変わらないの。


 それに、人族の家系図は、始祖から子孫側へ枝分かれするけど、魔族のファミリーツリーは、自分から辿って祖先側にツリーが広がるの。



 それなら、血統管理システムを維持するために純血統レベルの魔力が必要なのなら、夫に公爵家を立てさせてそこで管理すればいいじゃない?


 何故、夫に聖女をけしかけるなんて手順を踏んで廃嫡にしようとしているの?


 それに、夫はブライトの秘儀は何も教わっていないのよ?


 このままでは、夫の代で聖女対抗ツールにして魔族令嬢の憧れの「聖女の血統」が維持できなくなってしまうかもしれないわ。


 もしかしたら、それが目的?


 夫に全て擦り付けて、聖女の血統システムを瓦解させようとしている?


 

 こういうところが、聖女が送られ続けることの問題点なの。


 魔族は聖女に対抗するための力を残すため、純血統を捨てられない。



 ブライト国だけじゃないわ。


 母国ダジマットも混血化には賛成の立場なの。

 でも「悪役令嬢」が混血化して魔力が弱体化すると民が不安になるでしょ?

 だから、ダジマット家は混血化できない。


 神聖国とその水盆も同じ。

 聖女に対抗する力を残すため、魔族同士で相性の良いカップリングを支援し続けなければならない。


 なかなかムズカシイ問題なのよ。



 ふぅ。

 今日は夫の瘴気を一気に剥したから、魔力の消費が激しくて、なんだか疲れたわ。


 わたくしったら、毎日夫に振り回されてヘトヘトになっているわね。


 夫は気を失ったままかしら、寝ているのかしら?

 ちゃんと息をしているから、大丈夫よね?


 うん。心音も大丈夫そう。


 この人が、自分にへばりついている瘴気をかなり気にしていることに気付けなくて申し訳ないことをしたわ。


 これまで魔力透視でしか彼を見ることが多かったから、瘴気に覆われて表情が分からなかったのよね。

 気をつけないと。


 夫は今夜は裸だし、ベタベタ軟膏がついているから、くっつかなかったけど……

 それはそれで、ちょっと寂しいわね。

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