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夫はイケメンだけど、瘴気で見えないわ

 ごきげんよう。

 当代悪役令嬢、ラファエラです。


 わたくしは、ご機嫌斜めよ。


「君を愛することはない」


 って、言われちゃったの。


 ブライト国で「白い結婚」が横行していると聞いてはいたけれど、まさか自分が言い放たれるとは思っていなかったわ。


 高位貴族の令息たちをオカシクしてしまった聖女が、聖女牢に入ってから一ヶ月は経っているし、今は遠く離れた神聖国にいるのよ?


 別の国にいても、支配下にある人間をこんな風に動かすことができるなんて、恐ろしい能力ね。


 魔力透視状態で良かったわ。

 瘴気の塊に何と言われようが気になりませんもの。


 むしろシュールで笑いがこらえきれなかったわ。

 微笑ぐらいに誤魔化せたかしら?


 

 三大名門魔法国の一角、ブライト国で「聖女」が大暴れして、「ブライトの民が不安がっているから顔を見せてやってくれ」って、お父様から頼まれて、はるばるやってきたの。


 ブライト国に到着するや否や、何故かウェディングドレスを着せられたわ。


 腰から下がぶわっと広がっているプリンセスドレスよ。

 わたくし、ウェディングはダジマットのエレガントなエルフドレスを着たいと思ってたのに、ガッカリだわ。


 すぐに神殿に連れていかれて、結婚させられたの。


 相手は、元婚約者に極刑を言い渡した悪名高きブライト王太子よ!

 神殿なのに、「神前式」ではなく、人族流の「人前式」よ。

 ちぐはぐね。


 人族流の結婚式だから、魔族のわたくしには関係がないとかなんとか言って、後でなかったことにできますって意味かしら?



 わたくしがこの結婚式を拒否しなかった最大の理由は、新郎がヤバいからよ。


 このブライト国の王太子、瘴気に覆われていて、本体が見えないわ。

 災害クラスの禍々しさよ!


 これは何とかしなきゃ!って思うじゃない?


 せめてもの救いは、この方がイケメンだったことね。


 人前式が終わって、瘴気の塊からエスコートの手を差し出されたときに、手の本体が見えないから、魔力透視状態を解除したの。


 普通に見たら、あかるい金髪にクリっとしたブルーグレーの眼で、甘いお顔の美男子だったわ。


 背も高くて、シュッとしてる。

 立ち振る舞いもエレガント。


 流石は名門王家の王子ね。


 なんだか少し緊張したご様子で、宝物に触れるように丁寧にエスコートしていただいたの。


 少し気分が持ち上がったわ。

 ふふっ。わたくしってば、現金ね。



 とりあえず魔法で寝かしつけて、魔素回路の状態を触診したわ。


 瘴気で魔力透視しても何にも見えないから触るしかないのよ。


 わたくし神聖国の神の家で、修行してたの。女性ばかりの環境だったから、男性に触れるのは初めてよ。


 わたくしたちに比べて作りが大きいわね。

 全身の魔道回路を確認するのに時間がかかったわ。


 分厚い瘴気とは別に、魅了魔法と混乱魔法が幾重にも重ね掛けされていたわ。


 聖女は、魅了魔法と混乱魔法を併用することによって、婚約者を心から愛している殿方でも陥落させることが出来るの。


 状態は、最悪ね。


 かなり魔導回路に魅了と混乱が浸透しているし、癒着も進行しているから、一気にデスペルで引っ剥がすと魔導回路が傷ついてしまうわ。


 仕方ないから、瘴気の塊の本体に自分の身体をぴったりくっつけて、足もしっかり絡めて全身を使ってじわじわデスペルしているところよ。


 傍からみたら、睡眠で昏倒させたイケメンに抱き着いて寝ている痴女ね。


 聖女に追いかけまわされた挙句に、魔女に巻き付かれるなんて、この方、女運が悪すぎるわね。


 折角イケメンに張り付いているのに、魔力透視中のわたくしには禍々しい瘴気しか見えないの。

 残念過ぎるわ。



 夫が元婚約者をどれほど愛していたか分からないけれど、「極刑」を言い渡すなんて、混乱が進んでいて、廃人ギリギリの状態としか思えないわ。


 むしろ、既に「廃人」判定が出ているハズよ。

 なのに何故、まだ廃嫡されていないのかしら?


 そして、どうして「聖女」がいないのに「悪役令嬢」のわたくしが呼ばれたのかしら?

 誰が、何の目的で、他国の王女を巻き添いにしたの?


 わからないから、頑張って混乱だけでも「デスペル」で解除して、真っ当な状態の夫から話を聞くしかないわ。



 それから、瘴気は瘴気で何とかしないといけないわね。

 私ばっかり頑張るのもイヤだから、そのうち本人に状態を見せて、自分で浄化してもらうことにしましょう。


 ええ。それが良いわね。



 正直言って、ブライト国の王族なんて、滅んでもいいと思うわ。


 共和国っていうの?

 ああいうの、悪くないと思うわよ?


 イヤミじゃないわ。

 母が、アカデミアという共和国の出身なの。

 身分制がないから、全員平民よ。


 身分階級がない代わりに、学術階級があるから、それはそれで大変でしょうけれど、成果がでれば階級が上がる実力主義だから、納得感はありそうよ。



 もし夫もブライトに愛着がないのなら、ダジマットに連れ帰ってもいいわ。

 魔力自体は予想以上に豊富なようだし、神聖国で神官ってのもアリだと思う。

 

 でも、そうすると、ブライトの民も聖女の被害にあった他の魔族の令息たちも見捨ててしまうことになるわね。

 やはりしばらくはブライト国内で活動するしかないかしらね?



 はぁ。

 わたくしってば、なんで初夜の床でこんな苦行をしているのかしら?

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