表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/163

#2

「お嬢様!?どうされました!?」

「ニコラ?ニコラ……!!ごめんなさい私のせいで……!!」


牢屋にいるときに看守が話していた。


私の無実を訴え続けたニコラは殺された。再調査を何度も依頼したけど聞き入れてもらえず、私との面会も拒絶された。


私は……アリアナ・ローズは未来永劫語り継がれる悪女。侍女如きが会えるわけがないだろう、と嘲笑っていた。


ニコラは複数の男に乱暴と暴行を受けたのちに、裸で広場に吊るされ死しても尚、辱めを受けた。


ニコラの体はとても魅力があるのか、日に何度か看守が入れ替わることもあった。


私の数少ない理解者。ニコラさえも無慈悲に殺させてしまった。


まだ幼い妹と弟がいたのに。仲の良い姉も。死別させてしまった。


なんと詫びればいいのか。


「落ち着いて下さいお嬢様!怖い夢を見たんですか?」


夢だったらどれほどよかったか。残念なことに全て現実に起きたこと。


愚かな私のせいで招いてしまった悲劇。


私は地獄に落ちても仕方ないけど、優しいニコラが私と同じ場所にいるのは納得いかない。


なぜなの。ニコラの魂は在るべき所に還るべきはずなのに。


この世に神が存在しないのだと、思い知らされてしまった。


「緊張してるのはわかりますけど早く準備しましょう。旦那様がお呼びです」

「お父様も死んだの?」


血の繋がった親なのに悲しくないどころか笑ってしまう。


国王になった途端エドガーに見切りをつけられ暗殺でもされたのね。あのお父様が。


野心を抑えきれなかったか、エドガーにとって必要なのは愛する人だけだったのか。


どちらにしてもいい気味だ。


「本当に大丈夫ですか?」


心配そうに顔を覗き込んだ。


ニコラはいつもそうだ。同じ歳なのに私を妹のように心配し、本当の家族以上に私を理解してくれる。


死後の世界でも体は透けたりしないんだ。感触も温もりもまるで本物の体みたい。


「ニコラ。もしかしてこれって現実?」

「そうですね。お嬢様は怖い夢から目が覚めて起きていらっしゃるので。あんな悲鳴を上げるなんてどんな夢だったんですか」

「それは……」


口にするのも怖い。目の前のニコラを抱きしめた。


温もりがあって触れても壊れない。虚像なんかではなく紛れもなく本物。


そうか。方法はわからないけど過去に戻ってきたのか。


私の無念を晴らすために神が……。いや、私の許したくない強い意志が再びこの世に生を授けた。


「ところでさっき。お父様がどうとか言ってなかった?」

「そうです!のんびりしてる場合じゃないです!早く行かないと!!今日はディルク様とエドガー様がお見えになるんですから」


運命の分岐点。


過去、私はお父様に言われるがまま政略結婚のためにエドガーと婚約した。


その前にお父様の執務室に行き念を押される。


絶対にエドガーを選べと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ