04
「……ねえ、功、最近いいことあった?」
「ん? いや、いつも通りなんだが…」
「そう、やけに顔色がいいから。」
「そんなにか? 」
「うん。翼とエッチなことしたとか? 」
「黙れ。俺たちは恋人ではないと何回言えば分かるんだ。」
「あ、ごめん、夫婦か。」
「うるせぇ。」
あれから家に帰って疲労困憊だった俺たちはその日の夜は会わず、翌日には仕事が入っていたため、まったく関わってはいない。強いて言えば、今日の登校時間程度だろうか。
そして、今は昼休み。翼と愛実は飲み物を買いに行っているため、いつもの昼ご飯を食べる場所こと人気が少ないベンチで廉と二人きりだ。
「なんだ、お前こそ彼女とかいないのか」
「僕? 僕は、いないよ。」
「女子から黄色い声援を時折貰っているのに? 」
正直廉はモテる。中々整った顔と、謙虚で優しい性格などから惚れる女子も多い。
「あはは、功に言われると嫌味にしか聞こえないよ」
「いや、事実だろ。」
「学年…いや、学校一のモテ男くんに言われてもねぇ。」
「おいおい。茶化すな茶化すな。」
「……いや、まぁ言いたい事は分かるよ? 」
「分かるならどうしてなんだよ。」
「そうだなぁ。功にとっての翼みたいな人が居ないからかな? 」
「理由を述べるついでに弄るな。」
「いや、まぁ事実だしねぇ。」
「やっほー!! 帰ってきたよー! 」
「相変わらずテンション高ぇな。」
廉と恋バナ(?)をしていると愛実と翼が帰ってきた。愛実はコーラ、翼はお茶を買ってきている。
「おかえりなさい。」
「ただいまー! 」
「功くん。今日の弁当美味しそうだね。」
「それ、功の手作り? 」
「…なぜ分かった? 」
「具が功の好みすぎるから。」
「えー! それ功の手作りなの!?」
「うるせぇ、そうだよ。」
「それ知らなかったの愛実だけだね。」
「翼も知ってたんかい! 」
「隣人ですから。」
「モテる男は違うねぇ。高身長、イケメン、成績学年1位、さらに女子力は高い。完璧じゃん。」
「廉くんは茶化すのが趣味なのかなぁ~? 」
「まぁ、廉も無駄にモテてるけどね!」
「ありがたい限りで。『無駄に』は余計だけどな? 」
本当にこいつらは茶化すのが趣味なのだろう。毎日いじられ、茶化されウンザリしている。まぁ、楽しいからいいのだが。
そんな会話をしているなか、翼の声が聞こえないと思ったら俺の弁当を見て……いや、もはや睨んでいる。どうやら、食料を今日は忘れてしまったらしい。
「……翼。いるか? 欲しいやつ。」
「え、、いいの? 」
「腹が減っては授業を受けられないからねぇ。」
「ありがと、これは感謝感激雨あられです。」
翼が、独特の単語を話すと、愛実は爆笑する。
「あはは! なにそれ! 」
「愛実は壺が浅いねぇ。」
「廉、うるさい。」
「あ、もうそろそろ帰らないと。」
「話を逸らすのが上手い模様で。」
話を逸らした……というのも事実だし、もうそろそろ帰らないといけない時間であることも事実だ。
皆食べ終わっているので、俺たちは教室に戻った。
*
放課後。
俺と翼はなぜか、愛実に呼び出されファミレスの席に着いていた。
「諸君、これから会議を始める…。」
「どうしたの、愛実。急に。」
「いい質問だ、翼くん……。ズバリもうすぐ体育祭があるでしょ? 」
時は5月下旬。もうすぐ体育祭の準備が始まる。
「それで、体育祭の事でなんかあるのか? 」
「そう、それがね……うちの学校さ、なんかジンクスあるじゃん? 」
「あー、なんか最後のクラス対抗リレーのバトンを交換した人同士は恋人になれる~みたいなやつ? 」
「そうそう。それでね……あの……そのですね、」
謎に愛実は赤面している。
「なんだ、焦れったいなぁ。」
「……クラスの女の子たちがですね、……廉とバトンを交換したいと言っておりまして……」
「「ほうほう」」
「……それでですね、……他の女の子たちよりもですね……私のほうが、交換したほうが私的にはいいな~と…」
「ほほう、という事は両思いになりたい……と?」
「言わないでぇぇぇぇええ!!!」
いつも俺に対して強気な愛実だが今は立場が逆転している。
「翼は愛実が廉の事好きって事知ってたか? 」
「……まぁ、はい。」
「へぇ。それで愛実は、俺達にどうして欲しいんだ? 」
愛実はもう、耳、顔と沸騰しているかのように赤くなっている。
「え、えっとぉ、ですね、はい! えっとですね」
愛実は自分の頬をパチンと叩いて180度切り替える。
「お二人共実行委員じゃん。だから、もし良ければ、2人とも言って欲しいなぁって。そしたら、廉もゴリ推したら行ってくれるかなと。」
「確かに、俺も廉も足の速さ的には大丈夫だな。」
「私も愛実のためなら頑張れるよ。」
「つばさぁぁぁぁああ!!!」
「ほんじゃ、まとめると俺たち三人がクラス対抗リレーに立候補して、廉も誘うって事でいいな? 」
「そう! 話が分かるゥ!!」
「りょーかい。」
「……てかさ、お前ら定期テスト大丈夫? 」
この時2人から無慈悲な声が聞こえたのは言うまでもない。
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