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第3話

「暑い………」



暑すぎる。今日の最高気温はたしか35度とか言ってたっけかな?


「もう、このくらいでだらしないなぁ!もっとテンション上げていこうよ!」


いや詩のテンションはちょっと高すぎると思います。


「ほら、ブスッとしてると後輩に示しがつかないよ!」


「そんなこと言ったって……」


「萩原先輩大丈夫ですか?顔白いですよ」


そういって笑いながら5年生の布良(めら)さんが僕らを楽譜で扇いでくれた。


結愛(ゆいな)ありがとう!!」


「ありがとう。でもこの暑さヤバくない?」


「先輩はスポーツとかできるので意外と大丈夫だと思っましたけど暑さは苦手なんですか?」


スポーツ得意って思われてたのか。それは少し嬉しい。


「いや、外で遊ぶのは嫌いじゃないよ?でもこのジメジメした暑さがどうしてもダメなんだよね」


「えー、波人男子なのにかっこわるい」


グサッッ


詩、お前言っていいことと悪いことがあるぞ。


「逆に詩は何であんまり動くのは好きじゃないくせにそんなに大丈夫なんだよ!?」


「先輩、でも私もこの暑さ大丈夫です」


「やっぱり!?さすが結愛だね!」


「まじですか!?」


えっ?なにこれ一人だけ?暑さに死にそうなの俺だけなのか?


「三春ちゃんは?もちろん暑いの大丈夫派だよね!?」


「いやいや、芦戸さんも暑いのダメだよね?」


「わっわたしは………」


芦戸さんはいつも詩とは仲良く話しているのにはなかなか僕には話しかけてくれない。


だから少しでも話せるようになったら嬉しいんだけどな。


「私もこの暑さ苦手てす!!」


よっしゃぁ!!


正直芦戸さんは詩と仲がいいから向こうだと思ってた!


「よかったよ、仲間がいて!ほら、やっぱり詩と布良さんの方がおかしいんだよ!」


俺は仲間を見つけて巻き返そうとする。


「いや、三春は先輩に合わせてるだけじゃない?」


布良さんがからかうように聞いた。


えっまじで!?

圧かけちゃたかな?申し訳ない。


「ちっ……ちがうよ!!なに言うのさ!」


よしっ!これで俺はおかしくない!


それにしても5年生も仲がいいね。


5年生は布良さんと芦戸さんの他に男子が2人いる。

その2人は俺とやっているゲームが同じだったりしてよく一緒に遊んだりしている。

来週も家に遊びに来る予定だ。



それにしても何でこんな暑いなか外で歩いてるのかと言うと…………


「ほら、もう着くよ!シャキッとしな!もうコンクールは始まってるんだよ!」


「「はい!!」」



そう、今日はコンクールの県大会予選ブロック本番だ。










「ふぅ、流石に緊張してきたね。」


係の人の今日の説明が終わり、いよいよ本番が近づいてきた。

いつも元気な詩でも会場の空気に飲まれて緊張をしてきたようだ。


「他の学校もすごいな。僕たちもだけど綺麗な衣装をきて揃っているのをみるとやっぱり緊張する。」


「やっぱりみんな緊張してるんだよね。1年に1回の特別な大会だもん。どうしても色々なこと考えちゃうよ。」


僕らはもう6年生だ。何回もここには来ている。

それでも本番と言うのは慣れないものだ。


「波人、がんばろうね。」


「うん。」


詩はここから逃げた僕を引っ張って戻してくれた。

そして団員のみんなが僕を待っていてくれた。

本当に嬉しかった。

だから僕はみんなと一緒に今日の日を最高だったと言い合いたいんだ。


「詩」


「なに?」


「ありがとうね。」


「……………うん!」


その顔はとても輝いていた。

もう二度とあんなに悲しそうな詩を見たくない。

でも泣かせてしまったのは自分なんだ。


もう絶対に詩を泣かせたりするもんか。

そう強く心に誓った。









「波人先輩ちょっと聞きたいところがあって。」


「ん?どこ?」


彼は五年生の城森大翔(きもりだいと)。数少ない合唱団の男子の一人で、大翔ともう一人の五年生とは僕は仲が良く、3人で遊びに行ったりしている。


「波人先輩、大翔!なにやってんだ?」


「今ちょうど先輩に自由曲の最後の全パートが合わさる所の確認をしようとしてたとこ。佳輝(よしき)もどう?」


「ああ、そこか。俺も難しいと思ってたとこだな。先輩お願い!」


この元気な男子は新山佳輝(にいやまよしき)。もう一人の五年生だ。


「わかった。じゃあ二人ともハミングでちっちゃく音出してみて。」


「「~~♪」」


「ありがとう。佳輝は音は合ってるけどピッチが下がりすぎかな。アルトはついつい下がりがちだけど、あまり下がりすぎると他のパートと合わないから気をつけて。」


「了解。ありがとう先輩!」


「大翔はメゾだから余計に音とりにくいよね。今はできてたけど、どうしても他パートにつられちゃうってことかな?」


「そうですね。とくにアルトの音にはついついつられがちですね。」


「だったら大翔も少しピッチを上げてみようか。僕ら男子はとくに低い音につられがちだからね。後は本番はとくに周りのパート仲間の音を聞いてみようか。僕も間違えないように頑張るから頼ってよ。」


「はい、ありがとうございます!」


「いや、先輩が戻ってきてくれて本当によかったよ。」


「それな。鈴木先輩は波人先輩がいなくなってから急に元気無くすし、俺らも女子ばっかりの環境だから気まずかったしね。」


「そう言ってくれると僕も戻ってこれてよかったなって思うよ。」


「あの頃は俺らが先輩と遊んでる時は合唱団の話できなかったもんな。」


「ホントに鈴木先輩には感謝です。」


「なんかすいません……」




ホント、戻ってきてよかったよ。

お読みいただきありがとうございます!



面白かった、続きが早く読みたい、というかたは高評価、ブックマークをよろしくお願いいたします!



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