いつもの街
オレ・・・カイダン・・・カサ・・・モッテ・・・ハシラナイ
今日はエルダの街に買い出しに来ている。いつ来てもここは賑やかで楽しい。森にいるとやはり静かだからたまにはこういうとこに来て人々の喧騒を聞くのもいいものだ。
人混みに揉まれながらも目的のものがある屋台までなんとかたどり着く。何度来ても人混みには慣れることができず少々疲れてしまう。
「すいませーん、この塩を1kgください」
「はいはい、いつも偉いね〜坊ちゃん。お使い頑張んなよ、ホイお釣り」
「はーい。おじちゃんも商売頑張ってね」
容器用に取り出した魔法の袋に塩を入れてもらう。異世界定番魔法の〇〇系グッズの中でももっとも需要の高いと思われる魔法の袋。袋の内容量が自身の魔力と比例するタイプで、俺の魔力もそこそこあるから色々詰め込めれて便利な道具だ。
「お姉さん、このりんご3個と適当にオススメの果物5個ください」
「あいよ、んーと・・・このマンゴーなんてどうだ?なかなか手に入らないもんだし、何より甘くて美味しいぞ」
「じゃあそれでお願いします。お金はこれくらいで足りますか?」
「えと、ひふみー・・・うん足りてるよ。はいこれがお釣りと、果物。大丈夫?持てる?」
「あ、大丈夫ですよ魔法の袋があるので」
「へーいいもん持ってんね。もしかしてどっかの金持ちの坊ちゃん?」
「金持ち・・・なのかもですね」
「ふうん、ま、いいや。マイドー」
そうなのである。この袋はとても高く、うまく売れば豪華な家が建つとか建たないとか。どちらにせよ高級品だから取られないようにしないとな。
「ふーこれで全部かな。やっぱ疲れんねぇ」
しばらくうろうろしながら買い出しとして頼まれたものを揃えた。たまにしか買い出しはしないので以外に量が多くなってしまう。
もっとスパンを短くしたいなと思ったこともあるが、それはそれで面倒なのでもういっぺんにすればいいかとなった。
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しばらく休憩をとってまた歩き出す。買い出しが終わっても街に来る目的はまだある。てかこっちが本命だ。
エルダート辺境伯家の正面に位置する門の目前にいる。近づくと門番の人がこちらに気づき手を振ってくれる。それに返すようにこちらは頭をさげる。ここ2年毎回行なっている光景だ。
「こんにちは、レイくん。いつもの場所でミシェル様が待ってるよ」
「ありがとうございます」
いつもの場所ーと言ってもミシェルの部屋だ。基本的に会いに行く時は部屋にいる時が多いからな。
家に入ると侍女の人に連れて行かれる。正直自分でいけるのだが前にそれを言った時「これも私たちのお仕事です」と言われたのでそれ以来素直に連れられている。
「失礼しますミシェル様、レイ様がご訪問に来ました」
次の瞬間扉が勢いよく開かれる。が、いつものことなので次女の人たちはそれを難なく避ける。成長したなぁ、最初の頃なんか鼻血出してたのに。
そしてその原因を生んでいるミシェルは待っていたという感じに、だが何も言わずに俺の腕を引っ張って自分の部屋に連れ込む。
そして扉を締めると、急に甘えて来る。年が経つに連れ周りに見られるにが恥ずかしくなってきたのか、エルダート家ではいつもこんな感じだ。
いつでもイチャイチャできなくなったのは残念だが俺だけに見でる表情があると思うとさらに興奮する。
ミシェルが我慢の限界になったのか飛びついて来る。それを優しく受け止めそのままじっとしている。
いつもみたいに撫でるのもいいがこうやってじっと互いを感じるのもまたいい時間だ。
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「またなー」
「ばい・・・ばいー」
夕暮れになって来たのでそろそろ家に帰らなければならない。別れは寂しいがまた一週間後にはまた来れるんだ。ミシェルエネルギーも十分に補給したしこれでまた一週間頑張れるだろう。
なんか久々に***←これ使った気がする