7話 僕と朝食
食堂の扉が開く。
長テーブルに左右3席ずつで1セットがずっらーーーーと並んでいる。クラスメイト達約20人、数十名の騎士、執事、メイドさんが座っても、まだまだ余裕であと5倍くらいの人が座れそうだ。
食堂に入ると皆が僕らを見る。
ん?何かを感じる。また害意感知が反応してるのかな?うわぁ、3スケがめっちゃ睨んでるよ…面倒臭いなぁ…
王女のアティを見て騎士、執事、メイドさんが食事を止めて全員が立ち上がる。
「「「アティーナ様、おはようございます!」」」
「皆さん、おはようございます。私に構わず、いつもの様に食事をしていいですよ。」
「いえ、そういうw「いつもの様に食事をして下さい。」はっ!わかりました!」
「私達も食べましょう。」
「ご案内いたします。」
一人のメイドさんが音も気配もさせないで声をかけてきた。
「貴女も私に構わず、食事をして下さい。」
「いえ。そういう訳にはいけません。皆さん、あちらで料理を受け取ります。」
「もう…貴女は。皆さん、行きましょう。」
「うん。」「「「はい。」」」
メイドさんの後をアティ達と一緒についていく。
「ここで肉料理か魚料理かを料理人に伝えて下さい。出来るまで少々お待ちいただいて、料理を受け取り好きな席で食べて下さい。食べ終わりましたら、あちらに持っていって頂けると助かります。」
学校の食堂、高速のパーキングエリアの食堂みたいだ。
「皆さん、どちらを食べますか?」
「うーん。肉料理かな。」
「私は魚料理でお願いします。」
「私も同じのお願いします。」
「自分は肉料理をお願いします。」
「シェフーマさん、魚料理3つ、肉料理2つお願いします。」
「わかりました!出来上がるまで少々お待ち下さい。」
少々待って肉とサラダ、スープにパン2つが乗ったトレーを受け取り、空いている席に向かう。
うわぁ、嫌な感じが近づいてくるよ…
「アティさん、おはよう。」「「おはよう。」」
「アカギ様、アオタ様、キダ様、おはようございます。」
「アティさん、一緒に食事をしましょう。」
「…ええ、一緒に食べましょう。」
ニヤつきながら3スケがアティの左右と正面に座ろうとする。
「ちょっとあなた達、昨日会ったばかりの女性を男だけで囲うのはさすがにないわよ。アティ様は私とナツキの間よ。」
アヤさんが3スケにキツく言う。
…さすが3スケ、ないわぁ…
「く…わかった。」
アティの左右をアヤさん、ナツキ、アティの正面を僕が、僕の左にタツヤ、右にアカギ、アオタ、キダの順に座る。
僕の事を3スケがめっちゃ睨んでくる。なんで僕が睨まれるんだ?席を決めたのアヤさんじゃん。とアヤさんをじーっと見る。
アヤさんは何食わぬ顔で
「皆座ったから、食べましょうか?」
「そうですね。食べましょう。」
「「「「いただきます。」」」」
「「「…いただきます。」」」
肉を一口サイズに切り食べてみる。うん。鶏肉の照り焼きっぽいな。美味しい。パンに挟んで照り焼きチキンバーガーみたくして食べてもいいかも。
「美味しいね。この魚フライ、ふわっとしてて。」
「美味しい白身魚フライみたいね。」
「こっちのお肉も美味しいよ。絡めているソースが合うね。照り焼きチキンみたいだね。」
「へぇ。ねぇ、ハル。こっちの1切れあげるから、少しちょうだい。」
「いいよ。」
僕は肉を切り、ナツキの皿に移して、僕の皿にナツキが1切れ移す。
アティが驚いた顔をしてたけど、疑問に思いながらも早速貰った魚を食べてみる。うん。美味しい。フィッシュバーガーもどきにしよう。パンが2つあるし、どっちも挟もう。パンを上下に切り、肉、魚をその上にサラダを乗せて挟む。照り焼きチキンバーガーもどき、フィッシュバーガーもどきの完成!
…マヨネーズがあれば、もっと美味しくなるかも。マヨネーズってあるのかな…
「そうだね。アティ様、マヨネーズという調味料ってありますか?酸味と甘味がある卵を使った調味料なんですが。」
タツヤも僕の真似をしてバーガーもどきにして食べていた。タツヤは漏れていた僕の心の声が聞いて、アティに質問した。
「あ、はい。マヨネーズですか?聞いた事がありませんね。」
「ないのかぁ…タツヤ、作ってよ。」
「そうだね。時間ある時に作ってみるよ。」
「ハルキ様が美味しいと言う調味料ですか…タツヤ様、作っていただいた時は私も頂いてもいいでしょうか?」
アティが僕の名前を言った時、隣から、右隣からすっごく嫌な感じがとんでくる。
「いいd「あの、アティさん。俺も下の名前で呼んでくれ。」」
アカギが割り込んできた。
「え、ええ、わかりました。」
「僕もお願いします。」「俺もお願いします。」
「あ、はい。わかりました。」
「「「ありがとう。」」」
と言って、なぜか勝ち誇った顔で僕を見る。3スケは上機嫌になり食事を再開する。3スケ以外食事が止まっていて沈黙が流れる。
「…作ったら一緒に食べましょう。この世界の人の口にも合えば嬉しいです。」
「は、はい。楽しみに待っています。」
「…そういえば、この後の予定ってどうなってるの?」
僕が言うと、アヤさんとナツキが呆れた表情にして、隣からタツヤのため息が聞こえる。
「…本当に何も聞いてないんだね、ハルは…」
「あ、ごめん。」
「まぁ、ハルキだからな。」
「「そうだね。」」
「え?なにそれ?」
アティがふふっと笑う。
「この後は訓練場で身体を動かすみたいよ。この世界で自分がどのくらい動けるか把握してもらいたいみたいよ。」
「なるほど。能力確認は大事だよね。いざという時に使えないってなったら大変だもんね。」
「そういうことです。」
それから雑談しながら食事を再開する。
まぁ僕は黙って、時々頷き、食事をしてる。だってアティと話すと3スケから嫌な感じがとんでくるんだもん。害意察知のスキルを取らなかった方が良かったんじゃないかと少し後悔する。
「「「「ごちそうさまでした。」」」」
食事が終わり、メイドさんが言ってた所に食器を置き、料理人達にもごちそうさまでした。と言い、アティ達プラス3スケと一緒に食堂を出る。また音も気配も無く現れたメイドさんの案内で訓練場に向かう。
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