6話 僕と女子3人とステータス
落ち着いた僕達は僕の部屋のソファに座る。
「ハルキは魔力操作のスキルは取らなかったのね?」
僕はアティをチラッと見て、アヤさんを見る。
アヤさんに近づき、コソコソと会話をする。
「この世界の人…アティがいるけど、神様のとこでスキル選択の件を話しちゃってもいいの?」
「大丈夫よ。」
「なんで?」
「私の勘よ。」
「そう。アヤさんの勘なら信じるよ。」
僕は席に戻り、先程の質問に答える。
「取らなかったよ。でも、少しずつ動かせるようになってきたよ。」
アヤさんは魔力をほんの少し動かしながら答える僕を見る、正確には魔力を見ている。
「そうみたいね。もう少しで魔力操作のスキルが手に入るんじゃないかしら?でも、魔力操作のスキルを取っていれば、すぐにでも魔法が使えたのよ?」
「いやー、血液みたいな流れのイメージですぐに動かせるモノだと思ってたから、魔力操作がこんなに難しいとはねー。楽しいからいいけどね!
てか、そういうって事はアヤさんは魔力操作、魔力感知も取ったんだね?」
「ええ、取ってるわ。ほら、これが私の取ったスキルよ。」
ーー
シンドウ アヤ
女 異世界人 16
レベル1
体力39
魔力42
力38
運力9
アイテムボックス、生活魔法
護身術lv7
風魔法lv7
魔力感知lv9、魔力操作lvMAX、魔力制御lv3、魔力自然回復上昇(微)lv7
疲労耐性lv5
勇者
ーー
「魔力制御もあるんだね。」
「魔力と付いてたから、魔法を使うのに必要なスキルかと思って取ったのだけど、魔法が使いやすくなるけど必要ってわけじゃなかったわね。」
「やっぱりそうなんだ。じゃあ、魔法を使うのには魔力操作だけでいいんだね。」
「魔力操作を取っていればそうだけれど、取ってない人は魔力感知があった方が魔力を感じる事が出来るから、とても楽になると思うわ。」
「まぁ、そうだよね。というかあっちには魔力が無かったから、無かった魔力を感じる事はさすがにすっごく難しいと思ったから、魔力感知だけは取っておいたんだよね。」
「それは正解ね。」
「え?じゃあ魔力感知も操作も取ってない私は魔法が使えるようになるのはすっごく難しいってこと?」
「「そうなるわね(たぶんね)。」」
うぇーって嫌そうな表情になるナツキ。
「タツヤもね。」
「…そうだね…ハルに魔力が心臓辺りにあるって言われたけど、全く魔力を感じとれなかったよ……」
「まぁ、簡単に魔力を感じとれる方法はあると思うわよ?
ね?」
アヤさんがアティを見る。
「本当?!」
ナツキとタツヤは期待した目でアティを見る。アティは頷く。
「はい。あります。それは魔力操作を取得している方が魔力感知を取得してない方に触れて魔力を流す方法です。lvMAXのアヤ様がナツキ様に触れて魔力を流せばすぐに感じとれるはずです。」
「「おお!」」と喜ぶナツキとタツヤ。
「私達より早いと思いますが、その後の魔力操作の取得には個人差がありますので魔法をすぐに使えるようになる方もいれば、時間がかかる方もいます。」
「そうでしょうね。」
「でも、魔力を感じなきゃ始められないんだよ!だから、アヤ!魔力を流して!」
そう言ってナツキはアヤさんの手を握る。
「いいわよ。じゃあ流すわね。」
僕はアヤさんの魔力の流れを見る。
アヤの心臓から右手に流れ、ナツキの左手に、心臓、右手、そしてアヤさんの左手から心臓に戻ってまた右手に、と流れていく。
「んん?アヤの右手から何かが流れてきてる…これが魔力?」
「そうよ。」
「わぁ!これが魔力なんだね!左手からきて心臓に向かって、そして右手に流れてるね!」
「あら?流れまでわかるの?じゃあ、もう魔力感知を取得してるんじゃないかしら?」
「え?そうなの?ちょっとステータスを確認してみる。」
「どう?」
「見て!取得してるよ!アヤありがとう!」
ーー
イマイズミ ナツキ
女 異世界人 16
レベル1
体力32
魔力30
力34
運力7
アイテムボックス、生活魔法
護身術lv3
水魔法lv6、風魔法lv8
魔力感知lv1
料理lv5、掃除lv9、裁縫lvMAX、交渉lv7、修理lv7
勇者
ーー
「へぇ、本当に魔力感知はすぐ取得できるんだね。」
「そうみたいだね。
アヤさん、自分にも魔力を流してくれないかな?」
「ええ、いいわよ。」
アヤさんはタツヤの手に軽く触れてナツキにしたように魔力を流す。タツヤは5周ほどしたところで流れがわかるようになり、魔力察知を取得した。
「ありがとう、アヤさん。ちゃんと魔力感知を取得できたよ。」
と、タツヤはステータスを見せる。ついでに僕も見せる。
アティは僕のステータスを見て、あれ?と首を傾げる。
「アティどうしたの?」
「え、えーっと、ハルキ様のステータスが昨日と違いまして、スキルが増えてて…」
「あー、ごめんね。昨日は隠蔽してたんだ。このメンバーは信用してるから、隠蔽してないスキルを見せたんだ。」
「……私にも見せてくれたのは…私も…信用して下さるという事ですか?」
「うん。そうだね。」
「…あ、ありがとうございます!その信用を裏切るような事はしないようにします!」
「…え?別にお礼を言われる事じゃないと思うけど…まぁ、よろしくね。」
「はい!よろしくお願い致します!」
アティは深々と頭を下げる。僕はその行動になんで?って困惑して、アヤさんを見る。目が合ってアヤさんが頷いてきたが、なぜ頷いたか分からずさらに困惑する。タツヤと目が合うとアナさんと同じく頷いて、ナツキと目が合うと嬉しそうに笑顔を見せる。
…どういう事なんだろう?アヤさんが大丈夫だって言ってたから、信用してると肯定したけど、なんでお礼を言って頭を下げたんだろう?
…う〜ん…分からない………まぁ、いいか。たぶんみんなの反応からして悪い事ではないと思うから、気にしなくていいか。
それにしても僕たちのステータスって…
「というか3人のステータスを見て思ったんだけど、僕達って勇者って感じしないね。レアスキルを持っていてレベルが高くて強いのが僕の勇者のイメージなんだけど、僕はスキルは多いけどほぼレベル1でしょ、タツヤは従魔術を持った料理人でしょ、アヤさんは魔力操作の得意な魔法使いで、ナツキは魔法が使える主婦って感じじゃん。ほら?勇者っぽくないでしょ?」
「たしかに。」「そうね。」「うん。」
「そんな事はありません!」
「「「「え?」」」」
僕達はいきなり大きな声で言うアティに驚く。
「ハルキ様達は勇者様に間違いありません!ステータスに勇者と刻まれているではありませんか!立派な勇者様です!」
「「「「う、うん。」」」」
「それに勇者は私達よりレベルが上がりやすく、能力の上昇値も高く、スキルが取得しやすく、スキルのレベルも上がりやすいのです!だから今スキルレベルが低くてもすぐに上がるはずです!レアスキルも取得するはずです!」
「「「「そうなんだ。」」」」
「はい!そうなのです!ですから不安に思わなくても大丈夫です!ハルキ様達は強くなります!私アティーナ・フォクシマリンが保証します!」
「あ、アティに保証されたら安心だね。」
「そうね。」「「そうだね」」
僕達は顔を合わせ苦笑い。
「あ、ちなみにアティのステータスはどんな感じなの?」
「え?あ、私のステータスはこれです。」
ーー
アティーナ・フォクシマリン
女 人族 15
レベル21
体力67
魔力106
力62
運力7
生活魔法
召喚魔法lvMAX
魔力感知lv3、魔力操作lv5、魔力制御lv4
フォクシマリン王国第3王女
ーー
「…アティ…王女だったの?!」
「「「………」」」
ナツキ、アヤさん、タツヤが呆れた目で見てくる。
「…王女には見えませんよね…」
「いやいや、綺麗だし可愛いと思ってたけど、まさか王女が普通にこんな所にいるだなんて思ってなかったからさ。普通護衛と一緒じゃない?」
「き、綺麗で、か、可愛いですか…」
「うん。アティは綺麗で可愛いよ。ね?」
「そうね。」「そうだね。」
「その反応が可愛いよね。」
「は、恥ずかしいですわ……ごほん。ご、護衛が居ないのはハルキ様の部屋だからです。」
「僕の部屋だから?」
「はい。昨日皆様お話しして、ハルキ様、タツヤ様、ナツキ様、アヤ様と他数名の方々は信用できると思いまして、護衛が居なくても大丈夫と判断しました。」
「へぇ、そうなんだ。というかみんな知ってたの?」
「昨日アティが自己紹介してたからね。話を聞いてなかったの?」
「…うん。全く。あーだから、あのおじさん達睨んできてたのか!アティが王女だから、馴れ馴れしい僕にイラついてたのか!」
「…そ、そんな事があったのですか?あ、あの私これでも王女なんですけど…」
「うん。そうみたいだね。」
「そ、その、これからも態度を変えないで下さると嬉しいです。」
アティが不安な顔で言う。
「え?なんで変える必要があるの?アティが言ったんだよ。『ふふっ。普段通りに話していただいて構いませんよ。』って。だから変わらないよ。これから普段通りだよ。」
「…ふふっ、そうでしたね。ありがとうございます。」
アティが笑顔を見せる。
「それにしても召喚魔法がレベルMAXってすごいわね。」
「「うんうん。」」
「たしかに。レベルMAXだと大精霊とか古代龍とか大天使とかすっごいのを召喚できるんだよね?」
「召喚魔法のレベルMAXでは」
コンコンコンとノックされる。
「アティーナ様、皆様、朝食の準備が整いました。」
「はい。わかりました。これから向かいます。連絡ありがとうございます。」
「いえ。では、お待ちしております。」
「と、言うことなので、続きは朝食後にお話ししましょう。」
アティが立ち上がり、僕達も立ち上がる。
「気になるけど、魔力操作してたからお腹が空いたよ。またあのパーティー会場で食べるの?」
「いいえ。食堂で食べます。これからは基本そこで食べる事になります。」
「へぇ。そうなんだ。」
「では、向かいましょう。付いてきて下さい。」
僕達はアティの後を付いていく。
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