10話 僕と魔法
午後からは訓練所で自由行動だそうだ。
皆、走ったり剣を振ったり組手をしたり魔法を撃ったりしている。
僕、タツヤ、ナツキ、アヤさんは魔力操作を取得したから魔法を使ってみる事にした。僕は昨日出来なかった生活魔法から試してみる。アイテムボックスから汚れた皿を右手に出す。
「え!?」
ナツキが驚いた声を出す。
「ん?どうしたの?」
「ハル、そのお皿どっから出したの?」
「アイテムボックスからだけど?」
「アイテムボックス?」
「そう。神様から貰ったでしょ。」
「そういえば…」
ナツキが首を傾げた後、手をポンと叩く。
「貰ったね。忘れてた!」
「生活魔法を試してから、分かってる事教えるよ。」
「ありがとう。」
僕は魔力を左手に集め汚れた皿に向けてリムステーブ(生活魔法の汚れを落とす魔法)を唱えてみる。
「『リムステーブ』」
すると皿が淡く光り、数秒後光が収まると汚れが落ちていた。
「おお!汚れが落ちてる!魔法が使えた!!」
「おお!食器洗いが楽になるね!水が節約できるし、時間も短縮出来る!」
料理をするタツヤが喜ぶ。
僕は他の生活魔法を試してみる。皿の上に手を向けて
「『アウォート』」
皿に水が溜まり、皿から溢れる寸前で水が止まる。
次は手をお椀のようにして『アウォート』と唱える。こっちも溢れる寸前で止まる。
地面に水を捨て、アイテムボックスからコップを出す。コップに向けて『アウォート』。こっちも溢れる寸前で止まる。コップの水を捨てて、コップの半分の量を意識して『アウォート』と唱える。半分の量で止まる。
手を前に伸ばし、シャワーの様に出るイメージをしながら唱える。イメージした通り水が出る。止まれと意識すると出なくなった。
次にウォータージェットをイメージしたが、ちょろちょろ~としか出なかった。生活魔法だからなのか、スキルレベルが低いせいなのかわからない。
次は濡れた土に向かって
「『アファート』」
火が出る。濡れた土の上で火が燃えている。数秒後消える。
次は人差し指を立てて『アファート』と唱える。指先から少し離れたところで火が燃えている。指を動かすと火が付いてくる。少し指先が暖かい。手を火に近づけると熱い。ふっと息をかけると火が消える。もう一度指先に『アファート』と唱え、消えろって意識すると火が消える。ライターみたいだ。簡単に煙草が吸えるね。吸った事ないけど、吸おうと思わないけど。
手のひらを前に出して、ア〇ア〇マ〇のイメージしてみたが、少し長い火しか出なかった。両手から出して飛びたかったんだけどな。
次は
「『アライート』」
目の前に光が浮いている。数秒経っても消えないから、消えろと意識すると消える。どのくらい消えるのか確かめる為少し上を意識して『アライート』と唱え光を出しとく。
今生活魔法で試したい事をやってみたので、ナツキとアヤさんにアイテムボックスで試した事を伝える。
「収納量を超える物の収納なら、あの土の袋で試したら?」
ナツキが身体能力の確認で使った土の袋を指差す。
「そうだね。」
土の袋は10メートルくらい先にある。40キロの袋を収納する意識をしてみるが、収納されない。
「収納されないねぇ。」
「私も試してみたけど、10キロの袋も収納されないから収納可能な距離があるみたいね。」
「そうかもね。近づきながら試してみるか。」
土の袋の袋に近づきながら試していく。4mくらいでアヤさんが収納でき、次に僕、タツヤ、ナツキが3mくらいで収納できた。
「魔力の十分の一が収納可能な距離かしらね。」
「そうかもね。あぁやっぱり超える物は収納できないみたいだねぇ。」
「ええ。私も収納できないわ。」
ナツキもタツヤも収納できなかった。
あとは生き物を収納できるかを確認したいけどここには人しかいないから問題があったらやばいから試せない。城の外に出た時に虫などで試してみよう。アイテムボックスの検証はまた今度にしよう。
その後水魔法、土魔法、空間魔法を試してたり、魔力操作で魔力をぐるぐると動かしながら雑談をしたりした。
魔法があるという事を除けば異世界転移する前とそう変わらなかった。
水の球、土の球、透明な球(空間魔法)を同時に出して、お手玉しようとしたが出来なかった。一旦諦めて1つだけ掌に出してそれを自由に動かそうとするが動かせない。掌を動かせば一緒に動くけど、僕としては掌を動かさなくても、自由に動かせるようにしたい。同時発動もしたい。
あれこれしていると、レベル上げしたいと言っていたクラスメイト達が訓練所に戻ってきた。
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