1話 0日目 僕と神様
「“ステータスオープン”」
ーー
トミタ ハルキ
男 異世界人 16
レベル1
体力32
魔力38
力25
運力10
勇者
ーー
やっぱり夢の続きなんだ…
数時間前…
「こら!いい加減起きんかああ!」
「ぃったぁ」
左手で後頭部を摩りながら右手で目を軽くこする。
「せんせー、そんな強く叩かなくても起きますよーあー頭痛いなー」
「何度も呼びかけたんだがな!お前さんだけ全然起きんからな。叩くしかなかったのじゃ。それと儂は先生じゃないわ!」
「ん?」
目の前に杖を持っている白髪で長髪、眉毛も長い、髭も長い爺さん。瞬きする。うん。変わらず爺さんがいるな。
周りを見る。学校の机、真っ白な部屋、床も真っ白。机以外おかしい…
「…夢か。」
「夢じゃないぞ!現実じゃよ。お前さんは召喚されたんじゃ。」
「ん?それって勇者召喚?」
「そうじゃ。勇者召喚じゃ。」
「おお。チートスキルとか貰える感じ?」
「チート?
…うむ…ほうほう……」
爺さんがぶつぶつ言ってる。
「お前さんが思っているようなスキルは無いが、アイテムボックスと生活魔法と勇者の称号を与えるぞ。」
「アイテムボックス!?それはチートだよ!無限に収納できて時間停止でしょ?」
「時間停止だが、無限に収納はできんからチートじゃないのぉ。」
「制限があるのかー。まぁ時間停止だけでもチートだと思うけどね。どのくらい収納できるの?」
「最低1kg、魔力1で1kgじゃな。魔力は努力次第で増えるからのぉ、無限といえば無限かの?」
「すっくな!あ、でも努力次第で増え続けるのか。それならいいのか…?ちなみに僕の魔力はどのくらいあるの?」
「お前さんの魔力か……38じゃな。」
「おお!じゃあ38キロかー。多いのか…?」
んー?初期に30キロのお米が入るって考えると多い…?
1合150グラムくらいだろ?えっーと30キロで200合だな。そして1日3合食べるから……66.66…約2カ月分か。多いな!
「多いな!」
「いきなり大きな声を出すんじゃない!」
「あ、ごめん。
ねぇ、アイテムボックス以外のスキルって貰えないの?」
「そうじゃ「えー貰えないのかー勇者なのにーケチー」
ゴッン
杖で頭を叩く爺さん。
「ぃったぁ!なにするんですか!爺さん!」
「話を最後まで聞かんからじゃ!それから儂は神様じゃ!爺さんと呼ぶんじゃない!」
「…そうじゃって言うから…」小声
(それに叩かれるならこんな爺さん神様じゃなく美人お姉さんの女神様がよかった……夢としてはそこがマイナスポイントだよ…)
「ん?なんじゃ?ん?ん?」
コンコンと床を杖で叩く笑顔の爺さん神様。
「なんでもありません。続きをどうぞ!」
「…儂が与えられるのはアイテムボックスと勇者の称号だけで、他のスキルはお前さんが選ぶんじゃ。このスキル表から選ぶんじゃ。」
爺さん神様がそう言いながら杖を振るうと机の上に24型くらいのディスプレイとマウス、2つのサイコロが出現した。
画面には剣術(1)刀術(1)槍術(1)〜〜鑑定(3)〜〜火魔法(1)水魔法(1)風魔法(1)土魔法(1)光魔法(2)闇魔法(2)空間魔法(3)〜〜毒耐性(1)麻痺耐性(1)とか表示されている。
「まず2つのサイコロを振って、持てる枠を決めるんじゃ。出た数に応じてスキルを選んで、またサイコロを振ってスキルのレベルが決まるんじゃ。」
「なんでサイコロで決めるの?」
「運も実力の内だからじゃ。」
「そっか。あ、この括弧の数字は?」
「括弧の数字はその数だけ枠を使用するんじゃ。大きい数字程、珍しいスキルじゃな。
持てる枠が4つだとして空間魔法(3)を選んだら、あとは(1)のスキルを1つしか選べん。」
「光魔法(2)を選んだら、(2)のスキルを1つか(1)のスキルを2つ選べるって事だね?」
「そういう事じゃ。理解が早くて助かるぞ。」
「スキルのレベルの最大値は?」
「MAXは10じゃな。さて、早速サイコロを振ってもらうかのぉ。」
「………うーん、ちょっと待って。」
「なんじゃ?」
「隠蔽と偽装以外のスキルはレベル1でいいから、スキルレベルを決めるサイコロで出た数の合計を10毎に1つ持てる枠を増やしてほしいんだけど?」
「……ふむ。どうしてじゃ?」
「1人くらいたくさんスキルを持ってる勇者がいても良くない?それにレベル1じゃん?徐々に使えるように、出来るようになるのが良いんだよ。」
「…まぁ、いいじゃろう。」
「ありがとう、神様。じゃあ、振るかー」
サイコロを取って両手で包み、振って振って振りまくって、机の上に転がす。コロコロって転がる。サイコロが止まり出たのは6。もう1つのサイコロはディスプレイの裏に転がっていく。立ち上がって裏を確認する。こちらも6だった。合計12。
「ょし!」
「…ほぉ。運がいいのぉ……次はスキルを選ぶんじゃ。」
「わかった。」
ディスプレイに表示してあるスキルを上から下へと確認していく。
〜〜隠蔽(3)偽装(3)〜〜
まず隠蔽と偽装を選択、残り6枠。
「水魔法でお湯って出せる?」
「出せるぞ。」
「そっか。ありがと。」
他のスキルの事もいろいろと聞いて、時間をかけて水魔法と他に(1)のスキルを5つ選んだ。
「選び終わった。」
「次はレベル決めじゃな。隠蔽、偽装の順に決めるのじゃ。」
「わかった。」
1回目9、2回目7、隠蔽lv9と偽装lv7は確定。
順に10、7、11、12、8、10が出て合計60。10毎に1枠だから、6枠。
時間を掛けて(3)、(2)、(1)のスキルを1つずつ選んだ。
またレベル決めのサイコロを振る。10、9、11。合計30。
(2)のスキル1つ、(1)のスキル1つ選ぶ。
またまたレベル決めのサイコロ。12、7。合計19。
「あー、8以上出てれば2枠増えたのにー。ま、しょうがないか。どれにしようかな…」
料理(1)を選んで、レベル決めのサイコロ、8が出る。
「ここで8か!さっき出てくれよぉ」
「……終わったようじゃな………おめでとう、過去最多所持数じゃ。」
「え?まじ?おお!狙ったわけじゃないけど、嬉しいな!」
「…こんな提案してくる者はいなかったからのぉ。
何人か12出した者もいたがほぼ全員が珍しいスキルを4つだったのぉ。お前さんみたいな者はいなかったのじゃ。変な奴じゃのぉ。ほっほっほ。」
「まぁ変わった奴ってよく言われた事あるし、自覚はあるよ。あ、そうだ。もうスキルって使える?どうやって使うの?」
「まだ使えん。あっちに着いたら使えるようになるんじゃ。スキルは取得したら分かるようになるんじゃ。」
「そっかー。じゃあここでやる事は終わり?」
「そうじゃな。さて、送るかの。」
「スキルの事ありがとう。あっちに着いたら、感謝の意を込めて祈らせてもらうよ。」
「うむ。それは良い事じゃな。
では、送るぞ。元気でな。」
「ありがとう神様。神様も元気でねー!じゃあねー」
バイバイと手を振る。
爺さん神様が床に杖をコツンと叩く。光り出して、だんだんと意識を保っていられなくなる。
「面白いやつだったのぉ…
そういえば名前を聞いてなかったのぉ……まぁ、(覗き)見れば分かるか。」
神様しかいなくなった部屋に大きな薄型テレビが出現、浮いていて、そこに召喚された男が映っていた。
「長生きしておくれよ。儂の娯楽の為に…これからも楽しみじゃな。ほっほっほっ。」
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