なるほど、だから爆発ね。
「わぁ…すご。」
「だいぶ散らかってるんですけど、どうぞこちらへ。」
棚に収まりきらない本が山積みになっていたり、殴り書きしたメモが散乱していたり。よく見ると魔法陣の絵がそこらじゅうにある。
「もしかして、お二人は魔法陣の研究を?」
「はい。本に載っている魔法陣を如何にシンプルに作り変えることが出来るかを研究しています。」
魔法陣はベースとなる陣に詠唱した魔法を組み込んで固定させることで使用出来る。複雑な詠唱程陣の模様も複雑になってくるわけで。呪いの模様と似た感じなのだろう。
その組み込む魔法がシンプルになれば良いということだろうけど。
「組み込む魔法の詠唱を簡略化させる感じですかね?」
「その通りです!通常使用する魔法もそうですけど、詠唱がもっと短くなれば隙もなくなりますし、魔法陣ももっと色んな場所で簡単に使えるようになると思うんですよねぇ。」
魔法陣は作成する時、詠唱した状態を維持したまま陣に組み込んで浸透させていくのだが、それには膨大な魔力が必要になってくる。だから大量生産が難しく、移動用の魔法陣がアルテナにあった時に驚かれたのだ。
必要な魔力を削るには確かに詠唱の簡略化が手っ取り早いが、そんな簡単に出来るのだろうか。
「成功した魔法陣はあるのですか?」
「それがなかなか…。そもそも詠唱を簡略化させるのだって突拍子もない発想で、ハンナ様を筆頭に研究がされていますけど一年に2個成功すれば良い方でして…。」
「でも成功はしてるのですから凄いですよね…。」
既存のものを思い切って変えるのはとても大変なことだ。上手くいくかどうかも分からないことはだいたい反対されてそこで終わるのだが、そう考えるとメドニエは凄い国だと思う。
簡略化に関してはコツを掴めば簡単に進みそうなものだが、二人の様子を見るになかなか進んでないらしい。自分の特殊な詠唱はやはり知られないようにした方がいいだろう。絶対に研究対象にされる。メロも同じことを思ったのか、真剣な顔で頷いていた。
「どんな感じで研究を?」
「今は比較的簡単な魔法陣を本から抜粋して組み込まれている詠唱を確認したのち、自分達なりに簡略化させて陣に組み込もうとしてるのですが…。」
「確かにシンプルになることで組み込む為の魔力はだいぶ削れて簡単に出来るようになりました。ただ詠唱の削る部分が間違えているのか、浸透させていくと突然爆発することが多々ありまして…。」
薬品を混ぜているわけではないのに爆発ってどういうことだよって思っていたけど、そういうことだったのね。




