【???side】商人、壁の花に出会う①
【にゃ】の使う場所が難しい…。
「ふんふーん。豊作豊作にゃぁ。」
あれだけあった大量の荷物は初日で半分完売し、酒場での情報収集もそれにゃりの成果を上げた翌日。
売上の一部を使い、アルテナでまだ栽培されていにゃい作物の種を購入。辺境伯領なだけあって、普段見ないものが多くてワクワクする。
「やぁ嬢ちゃん!シュトングはどうだい?」
「良い所だにゃ。ご飯も美味しいし、活気に満ち溢れてるし。」
お店のオジサンと軽くお喋りをして脇のベンチで一息つく。背負っていた荷物を隣に降ろし、先程買った甘味を一口。うにゃ、アルテナの方が美味しいにゃ。
商品として持ってきた中にある抹茶プリンとやらに手が伸びそうににゃるのを我慢して、通りの賑わいに視線を戻す。
別に人の流れを見たいわけではにゃい。
何か面白い話をしてるかを確認したいだけだにゃ。
「おやおや!お嬢様また来てくれたんですか!」
「オバサマこんにちは!」
視界の端の店で女の子の元気な声が聞こえてきた。顔を向ければ、そこに居たのはなんとシュトングのご令嬢!レイルが夜会で脅した女の子がいるではにゃいか!
これは面白いことになるに違いにゃいと甘味を流し込み、荷物を肩にかけながらそちらへ向かう。そんにゃアタシに気付くことなく二人は会話を続けている。
「今は忙しいでしょうに、大丈夫かい?警備の若いのが言ってたが、王子様との婚約が解消されそうなんだろう?」
「アルテナを独立させない為に、人質という名目でオズマン侯爵の所の長女が嫁ぐことになりそうなの。」
「王子様は昔から此処によく遊びに来ていたし、お嬢様とのことも満更じゃなさそうだったっていうのに…。」
へぇ…。第三王子はシュトングのご令嬢と婚約していたのか。
残念ながら長女と母親は侯爵様が近いうちに離縁するらしいから、人質になんて使えにゃいけど。どっちにしろ、そんにゃことでサラ様が大人しく従うわけにゃいし。
訂正、サラ様じゃにゃくて、元王妃様家族だにゃ。
思考が脱線しているうちにご令嬢の姿がなくなっていた。折角だから直接話してみたい気もするが。
「おばちゃーん、これ一つちょーだーい。」
「はいよ!ん?見ない顔だね?どこから来たんだい?」
「んー?アルテナだよー?」
まずはこのおばちゃんから攻めてみようかにゃ。




