【???side】病院の自由人、恋バナ強制参加①
あけましておめでとうございます。更新頻度下がってしまいますが、今年もどうぞよろしくお願い致します。
潤沢な魔素が魅力的、だがしかしその量が膨大すぎて人間の手には余り、長年放置されてきていた瘴気の森。エルフであるアタシはその魔素に触れたくて訪れてみたいと前々から思っていた。
オズマン侯爵へ嘆願しに行く途中で寄ったら森ではなくなっていたけど。
「トゥコーテン殿がサラと一番付き合いが長いのだろう?よかったら話を聞かせてもらえないか?」
「あらいいわね。私も聞きたいわ。」
冒頭から昔を思い出していたのは、侯爵様とフィオナ様のそんな一言があったからだ。
アシュモード陛下の相手はこの二人が担うことになったようで勿論彼もいる。とても楽しそうにしながら。
「そんなにたいした話はありませんよ。ドルベルド領の孤児達を助けてもらってアルテナで保護してくれて、そのまま住み着いてるだけですし。」
メンバー的に無碍にも出来なかったので病院を他の職員に任せて集まったカフェで始まった会話に記憶を辿る。
疲労困憊の自分の前に現れたとても小さな女の子は、見た目がそうなだけで色々と斜め上だった。
『引き籠ってゴロゴロしたい!』を日々口にしながらアルテナの端から端までを行ったり来たりしてる少女は自身の境遇を嘆くわけでもなく、レイルをはじめ多くの人間を救ってきている。種族を問わないその活動は、住民に思っている以上の安心感を与えているのを彼女は知らないだろう。
なんだかんだこれからも飛び回っていそうで少しだけ笑いそうになるのを堪える。
「ねぇ、レイルとはどんな感じ?」
「それに関しては…。」
「大丈夫だから話してくれ。私も知りたい。」
「…はい。正直、サラが鈍すぎて全く何一つ進展はしていないと思います。ロシュロール殿下にしかり…。」
母として気になる所はそこなのかとフィオナ様の視線を受けながら、しかし父である侯爵様は娘のそんな話聞きたくないのでは?と思う。言い淀めば彼も気になっていたようで促されてしまった。陛下も口にはしなかったが興味津々だったようで、ついでに殿下の話も。
「うーん!もっとしっかりアピールしないと駄目よって言ったのにヘタレな息子め…!」
「侯爵様はサラの相手に希望はあるのですか?」
「あの子の好きなようにしてくれればいいと思うが…。そうか、鈍いのか…。もう14だろう?初恋の一つや二つしててもおかしくはないのに…。やはりもっと早くサラを自由に出来ていれば…。」
「スヴェン殿、そう気を落とすことはないぞ!なんたってロシュはあの年齢で初恋真っ只中だからな!」
学校以外ほとんどくっついているだけであからさまなアピールはしてないと彼女に伝えたらもっと張り切りそうなので黙っておこう。周りに気を遣わせたくない。
沈んだ侯爵様を陛下は慰めているが…。
「え、殿下っておいくつなのですか…?」
「人間で言えば30くらいだ!ここに来る前に少々突いてやったが、アレは無自覚だな!嫁にと言ったらヤシュカへのメリットを淡々と語ってるわりに目がギラギラしてて面白かった!」
人間換算30の男が14の少女に初恋…。
殿下の印象変わりそう。
ここからしばらくは別sideを多めに挟みながら進めていく予定です。




