そんな可能性があるなら握り潰したい。
「来るの早すぎじゃないですか?」
「そこは感謝してくれると嬉しいんだけどな。」
学校の理事長室。
どんなルートで来ればここまで早く到着するのか疑問のロシュロール殿下にハドゥーク商会長、カイル様にフィオナ様、レイル君にメロ。ニコニコしている理事長さんにすぐにでも回れ右して帰りたい私。
残念ながらルーヴさんは外に出ていたので理事長さんだけでもと此処に集合したが、メンバーがもう…ね。圧が凄すぎ。帰りたい(2回目)。
「さて、早速だが今回の件、交易の方は二次被害だと思っている。」
「アルテナに潜入することがメインだと?」
「恐らくアルテナの内情を探っていたら珍しいものがあったからくすねた、が私達の見解だ。」
それは…完全にヤシュカは巻き込まれただけなのでは?申し訳なさすぎるのだが。
「まぁ、他国の人間が紛れているのを発見出来なかったのはこちらの落ち度なので構わない。」
「それに関しては申し訳ございません…。」
「いや、謝るのはこちらなのでは…。」
商会長との謝罪合戦が始まりそうになったのをレイル君に止められる。そうだ、今するべきことはこれからの対策を考えることだ。
交易の件は役所の方でセキュリティの強化等を話し合うとして。
「メドニエは何を考えてるんですかね?」
「そもそもどんな国なんですか?」
外の世界を知らない私とレイル君はカイル様に顔を向けてみる。恐らくこの中で一番知っていそうな彼とフィオナ様は、口をつけていた紅茶のカップを静かに置き溜息を零した。
「あそこは特筆したものはないけど…そうねぇ…。ここ数年は魔法の研究に力を入れていたと聞いているわ。」
「魔法ですか?」
「えぇ。なんでも平民出身でありながら優秀な魔法使いが誕生したらしくてね。王女に気に入られて城内に作られた研究棟で日々魔法について研究してると。詠唱や魔法陣が改良出来れば、魔術師並みの魔法使いになれる人間がいるはずだとか…。」
「この大陸で確認されている魔術師は何人かいるが、メドニエにはいなかったはず…。」
確認されていないだけで黒髪の人間は一定数いるのだろうが、シュゼールほどでなくてもやはり多少差別は残っているらしいので、それを避けるために隠れているから把握は難しいらしい。だからメドニエにもいる可能性だってあるのだ。
確認されている魔術師も高位貴族だったり王族だったりがほとんどだそうだ。そりゃ地位が高けりゃ文句も言えないよね。うーん、モヤモヤ。
「その招待もあわよくばサラ達を囲い込もうとか思ってのことじゃないかな?」
「魔術師がいれば更に研究は捗りそうですしね。」
「向こうの王太子にはまだ婚約者はいなかったから、もしかしたら…。」
囲い込む可能性はあるだろうけど、フィオナ様、それはないですよ。
私まだ14歳だから、絶対ないですから。
お願いだからこっちを見てニヤニヤしないでくださいカイル様!




