偽装した意味なくなるのでやめてください。
閲覧、ブックマークありがとうございます。誤字脱字ありましたら申し訳ございません。
ブー、ブー。
「レイル君ちょっと離れて。役所からだ。」
隣からの猛攻を受けて辟易していたところにスマホが振動する。レイル君を相手にするのが良いのか、仕事の呼び出しの方が良いのか。どっちも嫌だが出ないわけにもいかないので。
画面には交易課の文字。ヤシュカと何かあったのだろうか。
「はい、サラです。どうしましたか?」
「あ!サラ様申し訳ございません!少々確認していただきたいものがありまして…。」
「ヤシュカとのやり取りで問題でも発生したんですか?」
「それが…ヤシュカからではないのです。」
ヤシュカじゃない?今はそれ以外の国とは一切やり取りはしてないのだが。ロシュロール殿下が斡旋したのかな?それでも何かしら連絡がくるはず。
「とりあえず今からそちらに向かいますね。………ってことで、仕事が入ったので私は失礼しますね。」
「厄介事か?」
「なんか、他国からの贈り物…?」
「曖昧だねぇ。」
行ってみないとどうしようもないので自分の分のお金を置いて席を立てば、何故か二人も立ち上がる。
「俺も行こう。ヤシュカ以外の国なら俺が分かるかもしれない。」
「僕も行く。悪いものだったら対処出来る人間が多いに越したことはないし。」
さっさと店の外へ向かう二人(さり気なくカイル様が、置いたお金を私の手に戻して奢ってくれた。なんてイケメン。)に遅れをとらないように急いで飛び出す。
どうか面倒事じゃありませんように!
「メドニエ?」
「ふむ、隣国だな。シュゼールの冷害の被害を抑えたその知識を是非ともご教授願いたい、とな。」
「メドニエはうちより被害が大きいわけ?」
「いや、俺がまだ城にいた時はそんな話聞かなかったが。」
交易課に届けられたのは隣国のメド二エからの手紙だった。ヤシュカ経由かと思いきや、正門の方で受け取ったらしい。中を確認すれば、冷害の対策を知りたいからメド二エへ招待したいと。
「冷害対策はサラの発案って国で発表したの?」
「まさか。そもそも対策の話ですら夜会でしなかっただろう?」
「つまり、ヤシュカ経由での潜入か。」
「あちらの門はそこまで厳しくしてないのでそれもあるかもしれませんけど、もし魔族以外がいればロシュロール殿下が何かしら報告してきそうですが。」
「どさくさに紛れた感じかな。」
アルテナに入る為の門は4箇所作ってあるが、うち2箇所はほぼ倉庫になっているので稼働しているのは正門と交易専用となっている交易門のみだ。今までは国内の人間ばかり警戒していたけど、こうなってくるとあちらの方の警備ももう少し厳しくする必要がありそうだ。
これに関してはヤシュカ側と相談しなければならないから、帰りに手紙を出していこう。
「どうするんだ?」
「流石に他国の王族からの招待を拒否するのはマズイですよねぇ…。」
「呼ばれてるのはサラだけ?」
「その辺の指定はなさそうだ。“魔術師”殿と言っているから黒髪であればお前が行ってもバレなそうだが。」
王族を騙すのもマズイのでは…と思わなくもないのだが、二人は何故か乗り気である。というより、潜入されているわけだから私の存在もバレているだろうし、行くしかなさそうなのだが。
「まぁ、嫌だけど行くしかありませんよね。」
「僕も一緒に行くよ。これこそ何かあった時に対処出来るからね。」
同行を申し出てくれるレイル君に内心ホッとする。王族への振る舞いには自信ないからね。
折角なので他に同行させる人間をピックアップしようかと住民リストの確認をしに交易課を出る。
トゥコーテンさんとメロは連れて行きたいかなぁ。父には運営を任せたいし。
「なら、俺も同行しようか?」
いや、死んだことになっているんだからカイル様は遠慮してください。




