この世界の最初の話。
誤字脱字あったらすいません。
途中で終わったのは彼女が力尽きたからだろうか。私にはそれを知る術はない。
ただただ、胸が痛かった。切実な願いに泣くしかなかった。
「3階の書斎…。」
そこに全て保管されてると彼女は言っていた。
泣いている時間はない。私が彼女の代からどのくらい後か分からないけど、少しずつ早く思い出してるなら足掻ける時間が増えている。一刻も早く遺された物を確認してこの世界を壊さなければ。
先代の彼女達の為にも、自分の為にも。
書斎というからには棚に本がびっしりと思いきや、図書館などにある棚が壁際に1つ。その真ん中にパッと見て20冊前後本がしまわれている。その横には遺されたものだろう物が少しだけ埃を被っていた。
「そもそも、この世界のストーリーってどんなものなんだろう。」
ズレが生じる前の最初が分からないと対応しようにも難しい。果たしてそれは遺されているのだろうか。
本棚に近付いて背表紙を新しい方から一つ一つ丁寧に確認していく。そのほとんどは魔女達の日記らしい。一番新しい所に遺品の説明書があったが、これは後回しだ。
「あった…?かな?」
一番古い所、恐らくこれがアルテナの日記だろう。その横に一回り小さいノートみたいな冊子が挟まっている。流石に全編思い出して書き出すことは出来なかったようだ。それでも大まかに分かるのならば大変大きな収穫になる。
主人公(毎回名前は変わるらしいので、とりあえずリーナとしておこう)は侯爵家の長女。国で忌避されてる黒髪を持つ妹(ここは私にしておこう)のせいで婚約者が出来ないまま18歳を迎える所からがスタートだ。幼少期から親に邪魔者扱いされてた私を使用人と共に大切に思うも、それが馬鹿にされてると感じた私が癇癪を起こしてリーナに毎日のように八つ当たりする日々。
そんなある日、国が【黒髪持ちの魔力の高さ】を認め、その力を王族の血に取り込む為に貴族でも身分の高かった私が王太子の婚約者となる。
誰もが手のひらを返し私のご機嫌を窺うようになるにつれて、私は今までの仕返しとばかりにまさに悪役と言われるような生活を送る。勿論周りは不満を募らせるが、怒りを買うわけにもいかず。
そこにリーナが口を出すようになる。
妹の為に必死なリーナに心を奪われた王太子は国王と相談して秘密裏に私を表舞台から降ろし、リーナと生涯を共にすることを決める。
しかしそれに気付いた私は自ら婚約破棄をし、瘴気の森を自分の国とし戦争を決意。
死闘の末、私は捕縛され死刑。
「なるほど。だからリーナは癇癪を起こさない私にイライラして、ストーリーの通りにするために私を嵌めて孤立させてたのか。」