再会。
「遅くなって本当に申し訳ありません…。」
応接室に揃っているメンバーに入室と同時に頭を下げる。その後すぐに姿勢を戻せば、てっきり父とメロだけだと思っていたのにレイル君とルーヴさんの姿もあった。
「サラ、魔力枯渇は大丈夫?」
「さっきトゥコーテンさんの所で薬飲んできたからだいぶ良くなったよ。」
「にゃ!?トゥ先生の薬飲んだの!?サラ様勇気あるにゃ…。」
見た目からして受け付けられないと身震いしているルーヴさんだけど、私だって好きで飲んだわけじゃない。
と目で訴えた所で通じる訳もなく。
「大丈夫なのか?無理していないか?」
「問題はありませんよ。ちょっと張り切り過ぎただけで。」
父の心配そうな顔を見てそう返せば、張り切ってあんなもん建てちゃうの?ってレイル君が隣の椅子を引きながら聞いてくる。そこに座りながら苦笑いで返事をしておく。
「折角だから、先に住居の様子も確認しておいた。」
「どうですかね?基本単身者で、一応2人で住めるように広さは調整したのですが。」
「僕達は見たけど完璧だったよ。既に荷物を移動して生活を始めてる人もいるし。」
なんと、もう引っ越した人がいるのか。まぁ早いに越したことはないのだろうけど、手続きにしろ荷物を運ぶにしろ、役所の人達の仕事への取り組み姿勢が優秀過ぎる。
「空き家の掃除も同時進行でしてるにゃ。外の人の家庭が多所帯だと、流石に新しい建物の方じゃ狭いだろうしにゃ。」
「ありがとうございます。ということでお父さん、受け入れは今日からでも問題無さそうです。」
お気に入りの緑茶を堪能していた父に目を向ければハッとしていた。ちゃんと聞いていたのだろうか。この人、どれだけ緑茶好きなのよ。
「あの…。」
とここで隣のメロが漸く口を開く。別に忘れていた訳ではないが、どう声を掛けていいか分からず放置してしまっていた。
その顔をしっかりと見れば、数年経ったと思わせない程変わらない様子で。
思わず震えそうになった手にグッと力を入れて私も口を開く。
「メロ、久しぶり。ずっと会いたかったわ。」
「サラお嬢様…。」
「もうお嬢様ではないけどね。貴女のおかげでこうして上手くやれているの。本当にありがとう。」
「そんな、私はたいした事も出来てなかったです。お屋敷でサラお嬢様を守りきれず申し訳ございませんでした。」
勢いよく頭を下げたせいで膝におでこをぶつけた彼女の顔が歪んでいるのは、痛みからそれ以外か。
「屋敷のことに関しては完全に私の落ち度だから気にしなくていい。」
「そうですよ。それで、メロも移住してくるの?」
「あまりに急なお誘いで驚いていますが、此処なら両親も喜ぶかと。」
前髪を整えるフリをしておでこを擦っているのを見るに、だいぶ痛かったようだ。少し赤くなっている気もする。
そんな彼女の快諾も貰えたのなら。
「では早速住居決めちゃいましょう。」




