何がどうしてこうなった。
「サラ!呪い解けたわよ!」
「サラ様!土の様子が!」
「サラ様!レイル殿が帰還しました!ロシュロール殿下、フィオナ様、カイル殿下と共に待機しています!」
待ってほしい。今おかしな一言が混ざっていた気がする。
すぐ戻ってくるわけないだろうと自宅に戻ってゴロゴロしていた。
テレビは監視鴉の映像を流しつつ、冷蔵庫に都合よく入っていた苺大福を堪能。完食したあとは麦茶を傍らに図書館で借りた本を読む。
時刻はもう少しで日付が変わる頃。連絡が来ない=何かトラブルが起きたかと寝るに寝れなくなってきた時に冒頭の連絡が入ったのである。
あらかじめ自宅にも監視鴉の映像を映せる媒体があるので何かあったら鴉を使ってくれと言ってあったが、枠に入るためにぎゅうぎゅうになって報告する彼等を見て引いた私は悪くないと思う。
トゥコーテンさんの所に集合しているようなので、急いで向かわねば。
「報告は以上です。」
「………ありがとうございます…。」
病院の応接室に揃っていたメンツを見て回れ右したくなったのをトゥコーテンさんに捕獲され着席し、話を聞くこと30分弱。
まず呪いの件は解決した。全員体の模様は綺麗に消え、体にも異常は無いようでこの場に全員集合している。どうやら側妃様と一緒にいた魔族が原因だったらしく、呪いに使われていたイヤリングは破壊し、その魔族も捕縛してロシュロール殿下の部下が既にヤシュカに送ったそうだ。
次に冷害の件だが、こちらも解決したらしい。初めに土の異常を知らせてくれた子が就寝中に飛び起きたと思ったら、同居人にひたすら元に戻ったと騒ぎたてたそうで。時間も遅かったので明日にしようとしたが病院の明かりに気付いてわざわざ来てくれたらしい。まだ畑を見てないが恐らく大丈夫だろう。
そして最後の件だが。
「お初にお目にかかります。ここの城主のサラ・オズマンと申します。」
「やだわサラちゃん。既にお手紙のやり取りして仲良しさんなんだから、堅苦しいのはやめましょ?」
「初めまして。レイルの兄のカイルです。」
レイル君の横でニコニコしているフィオナ様とカイル殿下。
これに関しては何も聞かされていなかったので理解するのにだいぶ時間がかかった。私だけでなくトゥコーテンさんやルーヴさんも知らなかったようで。
「本当にこちらにお住まいになるのですか?」
「えぇ。元々王妃になんて興味もなかったもの。貴族に生まれた以上受け入れるしかないと思ってたけど、こんな機会に恵まれるなんて!」
トゥコーテンさんが恐る恐る質問すればキャッキャウフフなフィオナ様。興味なかったのは本当のようだ。
「言い出したのは兄さんだよ。僕としても2人のことは心配だったし、ロシュロール殿下も快諾してくれたから。」
「こちらに恩を売っておくのもいいかと思いましてね。」
「…ソウデスカ。」
ロシュロール殿下の言葉にはまぁ納得出来るが、やりきった顔のレイル君には呆れるしかない。
フィオナ様とカイル殿下のお世話は絶対に押し付けてやる。




