ストーリーからの脱却を。
遺言の内容だけです。主人公いっさい出てきません。
『何故アタシの前に9人はいると把握出来てるか。それはね、アタシの知る一番古い魔女が記憶を取り戻してからこの世界の記録を日記として遺してくれたからなの。』
『その人、アルテナっていうのだけど。アルテナの魔力を多大に含んだその日記は、彼女が亡くなってこの世界のストーリーが終わり、次のループが始まったこの世界に何故か存在しててね。』
『それを見た次の魔女が同じように日記を遺し、また次のループへ…。それが何回か続きアタシの1つ前の魔女が遺された全ての日記に目を通した時に発覚したの。ラノベのストーリーと少しずつ、でも確かにズレが生じてきているのを。』
『気付いた彼女はこの法則が続けばいつかは魔女が救われるかもしれないと。いつかはこのループを終わらせることが出来るのではないかと。』
『そこから彼女は日記を遺すこと以外に、後代の手助けになればとこの家を建てたの。日記以外にも遺せると信じて。そしてアタシはそれを継いで電力の供給を成功させ、スマホに遺言を入れたの。』
『ただ魔女の力は個人差があるみたいで、アタシには繰り返し再生出来るように組み込めなかった。電力の供給に力を使いすぎたのもあるけど。』
『これを聞いた後代がアタシの時からどのくらいストーリーから外れたかは分からない。でも確かに記憶が戻るのは先代よりも早かった。それでも結末は変わらなかった。』
『もし貴方が記憶を取り戻してアタシ達の遺した物でストーリーから外れることが出来たなら。その時がこの世界の本当の終わりだとアタシも信じてる。』
『お願いよ今代の魔女。これ以上犠牲を増やさないよう、貴方の手でこのループを終わらせて欲しいの。ヒロインに転生する人間の身勝手な願望で前世で亡くなって、身勝手な願望でバットエンドを迎えるしかないこの世界を貴方に壊してもらいたいの。』
『アルテナから後の魔女はきっと全員日記を遺してるはず。アタシ以外にも何かを遺した魔女だっているはず。』
『日記や遺した物は3階の書斎に保管されるようになっているわ。それら全てに目を通して全力でこの世界をっ』