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【完結】魔女の箱庭  作者: うかびぃ
59/208

【???side】茶番を演じる1人として

更新あいて申し訳ございません。急いで作成したので誤字脱字の確認が疎かになってしまっています。表現もおかしかったらすいません。


「貴様!何者だ!」



殿下の背中の向こう側で、シュゼールの王が動揺している。

傍らには側妃と1人の小綺麗な男。正妃と第一王子はレイル殿の近くに居て、とても都合が良い。



「俺達はただの浮浪魔族だ。禁止されているはずの呪いの気配を感じたのでこの場にお邪魔させてもらっている。」

「呪いだと!?」



殿下は近くの貴族の声を真似たのか、少ししゃがれた低めの声で台詞を読んでいく。その後ろに控えるアタシともう1人は周りを警戒しつつ、側妃の横の男を視界に入れる。

今回殿下が此処に来ることになった元凶。

アルテナを出発すると同時にレイル殿が監視鴉を飛ばして側妃の周辺を監視していたところ、横に控えているのを発見したわけだが。

この男、姿は違えどヤシュカで指名手配になっている罪人と魔力の色がよく似ていた。魔族は同族であれば個人の魔力の色が識別出来る。

それが発覚してからの殿下の楽しそうなこと楽しそうなこと。

「これは…過激派の玩具にしてストレス発散させるか」なんて言ってるが、捕獲して国に戻った頃には生きているかも怪しい。

なんせこれから彼が作ったであろう呪具を破壊するのだ。代償を受けた体が健常なはずがない。



「おやおや。そちらの方は魔族ですね?見えますよ、貴方の魔力の色が。」

「ひぃ!」

「……やれ。」



声真似をやめた殿下の声に気付いた男が逃げようとするが、遅い。

隣で命令を受けた同僚は瞬時に詠唱をし男を拘束。その放った魔法が()()()()飛び散って、その一部が側妃の耳元を掠めて着けていた装飾品が割れたのを確認する。その恐怖で腰を抜かした彼女にも少し経てば影響が現れるだろう。



「さて、用は済んだ。俺達はこれで失礼する。」

「待ちなさい。」



凛と響く声は他方から。

そう、まだ帰るには早い。



「待てと言われて待つと?」

「貴方達を帰すわけにはいきません。陛下。」

「うむ。」



正妃と王の合図でアタシ達の周りを騎士が囲む。いつの間に正妃は王の隣に移動したのか。まぁその方がいいのだろうけど。



「侵入者を捕縛せよ!」



王のその言葉でいっせいに殿下に斬りかかるが、



「遅い。つまらん。」



直後にあっさり倒されてしまう。平然と立っている殿下とアタシに、周りは驚愕と恐怖の色を隠しきれていない。

ちなみに、同僚と罪人は既に転移して離宮の魔法陣前で待機している。

さて、この後がアタシの番だ。殿下の為にも失敗は許されない。



「大人しく帰ろうかと思ったが…。この国は相変わらずでいっそ笑えるぞ。」



殿下の詠唱が始まり、放ったと同時にそれは相殺される。

正妃の前に立ちはだかるはレイル殿だ。まぁ先程のはそよ風程度の魔法だったので、当たった所で害はないのだが。



「これはこれは、魔術師殿ではないですか。史実を捻じ曲げられ迫害を続けるこの国の、しかもそのトップが君臨する城でお会いするとは。」

「こんなのでも僕は第二王子なんでね。父はともかく、僕を生かすのに水面下で働きかけてくれていた母と兄を害するのは許せないかな。」



彼が口にした言葉を聞いた時の貴族達の顔といったら。

亡くなったはずの第二王子が生きていただけでも衝撃(特に第三王子の派閥の焦りように爆笑)なのに、まさかの黒髪。

おや、遠くの方で卒倒した婦人が見えた気がする。



「なるほど、さぞ生きにくかっただろうに。」

「最近はそうでもないですよ。」

「ほう?なかなか面白そうな話なようで是非拝聴したいところだが。」



殿下がこちらに合図を寄越してくる。ついに出番だ。

アタシが詠唱を開始した直後に正妃の足元に浮き上がる魔法陣。完成すれば、彼女は青白い炎に捕らわれているように見えるだろう。



「俺は未遂でも襲われるのは大嫌いなんだ。そんな奴、生かしておく訳ないだろう?」

「お前っ!」

「母上っ!」



2人のやりとりの間に第一王子が正妃を助ける為に自らも魔法陣に突撃していた。

それを確認してアタシはもう一度詠唱する。そうすれば、炎と共に正妃と第一王子も消えた。

勿論殺したわけじゃない。あれも転移魔法だ。

殿下がレイル殿から貰った手紙に同封されていたのは正妃からの手紙だった。

黒髪や魔族への対応の改善を王に進言してみても反応が薄く、とても期限には間に合わなそうだと。それならばアルテナで息子達と気ままに暮らしたいからひと芝居協力して欲しいと。

その為に用意されたこの夜会。少々やることは増えたがこちらにも利がある結果になったし、何よりヤシュカで問題になっていた過激派の抑制が解決する。まさにWin-Win。



「ご苦労。さて、今度こそ帰ろうか。」

「っ!待て!」



あとは殿下と私がいなくなり、激昂したフリをしたレイル殿が追いかけてくればほぼ終わりだ。

正妃と第一王子は離宮で荷物を纏め終わっているだろう。

合流してアルテナに戻ろう。



何も知らないサラ殿が驚く顔が楽しみである。



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