誰か頬をつねってくれ。
途中で寝てしまったのは2階の子達も同じだったようで、とりあえずカウンター横のブランケットを持ってきて一人一人に掛ける。
室内でポカポカしていてもまだ春先、風邪を引かれたら困る。トゥコーテンさんに怒られそうで。
「サラ、お母さんみたいだね。」
「じゃぁレイル君がお父さん?」
「僕まだ14歳だよ?」
「私だってまだ11歳だもん。」
精神年齢は前世に完全に引っ張られてるせいで二十歳前後だけど。なんてことは言えないのでとりあえず笑っておく。貴族の世界で生きていたせいか、子供らしい子供を見たこと無くて残念である。家の為に必死に教育を受けているから仕方がないことかもしれないけど。この子達のようにはしゃぎ過ぎて寝ちゃうくらいが丁度いいと思うけどなぁ。
そんなオバサンみたいな思考に浸りつつ、この場を彼に任せて自宅へ戻る。
忘れないうちに魔法の練習が出来る施設を作っておきたい。ついでにマイクロバスも。
今日は緑茶の気分だったので、湯呑み片手に箱庭部屋へ。
森そのものに魔法をかけて連携させてる仕組みなのかよく分からないけども、見た目変わらないのに中は拡張して広くなってるとかズルいよね。限界があるのか試してみたい。
一応建てた学校の横に少しスペースを確保して、それっぽい練習場を作る。声を発しつつ、手元はバスを作るために用紙を手に取る。
とりあえず4台揃えた時だった。
「お、城門が光ってる。皆帰ってきたのか。」
どうやら買い出し組が戻ってきたらしい。なるほど、こんな感じで把握出来るのか。でもこれって、住人増えたらしょっちゅうピカピカしてるのでは?
「それにしても、何で電車乗らないんだ?」
壁に掛けた時刻表を確認すると今まさに発車するところだ。それなのに、皆に動く様子がない。
仕方なく様子を見に行くことにした私は1階まで降りて玄関横の小部屋へ。ここは各城門への転移魔法が設置されている。
さて、正門へ飛びますかね。
「あ!サラ!」
前回使用した隠し部屋とは別の部屋に繋がってたらしい。その部屋から出て確認すべく足を運べば、トゥコーテンさんがすぐに気付いてくれた。その表情は困惑と疲労。
「おかえりなさい。なんか城門でもたついてたからトラブルかと思って来たのですが。」
「何その監視してるみたいな発言!……ってそんなこと言ってる場合じゃないのよ。」
「えぇ…そんな場合じ「おぉ!この子が森の所有者にゃんですか!?」……にゃん?」
割りと長身なトゥコーテンさんに隠れて見えなかったがその向こう。
小柄な女性が好奇心を隠さずキラキラした目で向けてくる。
それはまぁ、子供達がそうだったから耐性は出来たけども。
「…猫耳!?」
頭の上で主張する2つのモフモフに、絶句するのである。




