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【完結】魔女の箱庭  作者: うかびぃ
206/208

【???side】元王女はヤケ酒に付き合う

いつもより少しだけ長めです。


「最初はちょっとした興味だったんですよ。魔族相手に全然物怖じしないのを見るのって久しぶりでしたし。」

「なるほど、おもしれー女だったんですね。」



いつもなら営業している店は、本日臨時休業。その原因となった男は真っ昼間からアルコールに溺れている。

カウンターに突っ伏した姿に呆れつつ、なかなか減らない水を勧めた。

アルテナで今最も話題になっている、サラちゃんとレイルさんの結婚。日程が役所から発表された日からほぼ毎日どんちゃん騒ぎが続いている。勿論私だってそれに乗っかって急いで新メニュー(という名の前世お祝い時によく作っていた料理)を作成し、お祝いキャンペーンとして結婚式当日まで特別価格で提供中だ。反響は良く、売り上げもなかなか。

そんな結婚式2日前、いつものように開店しようと店の扉の鍵を開けた瞬間、現在ヤケ酒中のロシュロール殿下が入ってきたのだ。

明らかに沈んでいるその姿に同情し、早々に今日の営業は諦めて臨時休業の紙を貼りだした。



「ほら、流石に水飲んでくださいよ。帰れなくなったらどうするんですか。」

「…先日役所に相談して、こちらに家を買った。」

「え、殿下永住するんですか!?」

「いや、別荘扱いだ。」



週3でこちらに遊びに来ているんだから、もう住んじゃえばいいのにと何度ツッコミをしたかったか。ようやく決心したのかと思ったら別荘って…。聞くと店がある市場エリア寄りの一戸建てを購入したらしい。

別荘なら海が近いとか景色が良いとか、もっと落ち着いた場所なんじゃないの?

ちびちびと水を飲み始めた殿下を見て、空いたお皿を一度片付ける。追加の料理が必要かと聞けば2品ほどお願いされたので、準備に取り掛かる。



「……役所に行ったついでにサラに会ったんですよ。」

「ここ最近フィオナさんとカイルさん命令で仕事させてもらえないって言ってたのに居るなんて珍しいですね。」



結婚式の話が出たその日からサラちゃんはフィオナさんに連れられウエディングドレスの調整にエステ等々、忙しい日々を送っていると聞いている。少しぐったりした彼女が文句を言いながらランチをしにやってきたのは一昨日あたりだった。



「それで?告白でもしたんですか?」

「あぁ。少し困った顔でごめんなさいと言われたよ。」

「そりゃぁ、結婚式間近の人間に告白するなんてなかなかないでしょう…。」



度胸があるのかKYというのか。前の人生で見ていたドラマであった、結婚式で略奪よりは全然マシだけど。

まだ王女だった時は護衛として来ていた殿下のことカッコいいと思ってたけど、こう絡むようになると王族に見えないというかちょっと残念な人というか。



「明後日の結婚式、どんな顔して参列すればいいんだ…。」

「ちゃんとお祝いしてあげてくださいね。」



完成したつまみを殿下の目の前に置き、少し余った分を自分用に小皿に乗せる。お酒も追加で頼まれたので仕方なく同じものをボトルで持ってくる。もう自分も飲んでしまおうか。



「ミリア嬢は当日誰と参列するんだい?」

「私はメロさんとですね。お揃いのドレスなんすよー。もう楽しみで楽しみで!」



イヴェンナさんにはサラちゃんのウエディングドレスに集中してほしいので、メロさんと一緒に服屋に駆け込んだのは発表があってすぐだった。皆考えることは同じみたいで、既製品を求めて殺到していたのを覚えている。待ちの間にルーヴさん達行商組がドレスやら装飾品を仕入れて戻ってきてくれて、品薄になることはなかったけど。

吟味した結果、私がオレンジ、メロさんがグリーンの同じデザインのドレスを選んで調整してもらった。人参みたいと思ったのは私だけだろうか。



「私も一般参列の中に混ざりたい…。来賓としての参加なんて、二人の姿がよく見えてしまうじゃないか…。」



揚げ出し豆腐を突きながらグズグズする殿下は、もういっそ参加しなければいいと思う。


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