そこまで進んでるの?
頭から誤字脱字の確認をしたいのになかなか時間がとれない…。
「…。帝国のことはロシュロール殿下がなんとかしてくれるだろうな。」
「…。そうですね。」
静かになった部屋に父と私の声が響く。あの影に潜んでいるのは多分側近の人だ。そのまま帝国まで付いて行ってお願いという名の脅迫をしてくるのだろう。殿下自ら動かなくても部下だけでなんとかなってしまうのが恐ろしい。
「さて、これから時間はあるか?」
「今日は特に。カイル様達に上手く仕事を割り振れるようになったから暇な時間が多いくらいです。」
アルテナそのものに関することは箱庭をいじれる私かレイル君しか対応できないので仕事がゼロになることはないが、以前より圧倒的に少なくなって最近はダラダラする時間が多い。私が望んでいたものだ万歳。
私の返答を聞いた父はそれならばと別室への移動を提案してきた。何やら他に話し合うことがあるらしい。
テーブルに残ったカップの片付けを外で待機していてくれた職員さんお願いして、執務室近くの会議室へ。中に入るとそこに居たのは、先に退出していたレイル君とフィオナ様だった。
「あれ?皇太子は?」
「バンド付けてるし殿下の側近も監視してるから大丈夫だと思って、真っすぐ帰宅することをオススメして玄関で解放したよ。」
「なかなか面白いことになっていたのね。私も呼んでくれれば良かったのに。」
早起きすればよかったと残念がっているフィオナ様だが、一応死んだことになっているのを忘れないでほしい。一部に筒抜けになってしまっているから意味ない気もするけどさ。
「それで、この面子で何を話し合うんですか?」
「いやねぇサラちゃん。外のいざこざは落ち着いてカイルとトゥちゃんの新婚旅行も目前。ということは、次は貴女とレイルの結婚式しかないじゃない!」
「けっっこ、ん、しき!?」
「なんでそんなに驚くの。年齢的にもちょうどいいじゃん。」
ムスッとしているレイル君はとりあえず無視だ。
確かに戦争も終わって帝国の方も何とかなりそうだから落ち着くのは分かる。カイル様とトゥコーテンさんの旅行は確か来週から一ヶ月ほど(長い気もするがそこはスルーだ)で、帰ってくればいつもの生活になるのも分かる。
「そんな一ヶ月で準備できるものなのか…?」
「あら、貴方だって経験者でしょうに。」
ポツリと零れた父の言葉にすかさずフィオナ様が返している。彼なりの悪あがきなのだろうと思うことにする。
「私達は最低限で済ませたからな。家の都合で規模はそこそこだったが…。その点、お前達はこだわったりするだろう?」
「いや、私もそこまでこだわりは…。」
親子というべきか、恐らく父の言う最低限は本当に余計なことを一切しなかったシンプルなものだったと予測する。前世今世地味な生活を目指してる私も、自分にそんなお金をかけたくない。
だらけた生活の為なら惜しまないけども。
「サラちゃん、一生に一度なんだから絶対派手にやるべきよ。皆も盛大にお祝いしたいはず。さぁ、これからイヴェンナの所へ行くわよ!」
そっちはよろしく!と父にレイル君を押し付けて、フィオナ様は私の首根っこを引っ張って会議室を飛び出す。いや、何も話し合えてないし、私賛成してませんけど!?
その後結婚式当日までフィオナ様とイヴェンナさんに丸一日拘束される日が頻繁に発生することになる。




