そっちが来たか。
お久しぶりです。更新が出来なくて申し訳ないです。急いで投稿したので誤字脱字は許してください。
「断るのか?ならば力でねじ伏せることになるが?」
「現在進行形で動けない人に言われても説得力ないですよ。」
ふんぞり返ってるつもりなのだろうが、まだ拘束は解いていないのでサマになっていない。ダサい。
「どっちにしろ、そちらが実力行使に出ても何ら問題はないのでお好きなようにしてください。」
都市の戦力だけでも追い返せるとは思うし、既にロシュロール殿下にもバレているならヤシュカも首を突っ込んでくるだろう。面白半分で。
勝つ未来しか見えないのを喜ぶべきなのか。面倒ごとばっかりで全然嬉しくないんだが。
眉間の皺を人差し指で伸ばしながら目を瞑りしばし沈黙していると、横から父の悲鳴にも近い声がした。
「ちょ!?なんで飛んできてるんですか!?絶対安静でしたよね!?」
「いやぁ、ムカついてつい転移しちゃったみたい。」
「暴走しないでください!ロシュロール殿下とお話していたんじゃないんですか!?」
うーん、聴こえないはずの声がするが気のせいだろうか。どうしよう、瞼が上がるのを拒否している。このまま父に全て押し付けたい。
「あれ?サラ寝てるの?これ、キスしていい流れだよね?」
「うわぁぁ!逃避しているの分かってて顔近付けるのやめてもらっていいかな!?」
恐ろしい発言にカッと目を開ければ視界いっぱいに此処に居るはずのない顔。
レイル君はニコニコしたまま私から離れて、拘束されたままの皇太子に近寄った。父がポケットから薬瓶を取り出したのもほぼ同時だった。胃薬が手放せない生活で申し訳ない。
「ははっ、変な恰好。」
「そこの魔女が無礼を働いたからだ!貴様も魔女の家系か!ならこのふざけた魔法をなんとかしろ!」
「いや、元王族ですけど。残念ながら、サラの魔法って本人でも解除出来ないものあるし、そんなもの僕がなんとかできるわけないじゃーん。というか、無礼ってこっちのセリフぅ。」
皇太子の頬をツンツンしながら煽る煽る。いや、レイル君の方が無礼でしょコレ。
ギャーギャー騒ぐ二人をどうにかしないといけないとは思うが、レイル君を病院へ飛ばそうにも以前トゥコーテンさんに怒られているから躊躇ってしまう。ちゃんと飛ばせるかも分からないし。
このまま少し放置するかとやりとりを眺めてみる。諦めたのではない。これが被害を最小限に抑えられると判断したのだ。
「ねぇねぇサラと結婚したいの?」
「したいわけないだろう!こんな気持ち悪い黒髪、父上の命令でなければ視界に入れたくもない!」
「うっわ酷いなぁ。このままここで燃やしてあげようか?」
「それは片付けとか面倒だからやめてね。」
いや、そもそもツッコむところが…って父が控えめに言ってきた気がする。冗談だよ、私もレイル君も。
「まぁどっちにしろ無傷では帰れないんじゃない?ロシュロール殿下がアンタに影付けてるから、アルテナを無事に出ても何かしらちょっかいかけてくるでょ。」
「誰だそれは?」
「え?知らないのー?魔族の国の王弟殿下だよ?ジジイでも帝国くらいは簡単に潰せるよ?」
「失礼だな。ヤシュカではまだまだ若い方だからね?」
にょきにょきと皇太子さんの影からよく見る魔族さんと一緒に現れたロシュロール殿下に悲鳴があがる。
殿下、登場の仕方にレパートリー結構ありますね。




