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【完結】魔女の箱庭  作者: うかびぃ
201/208

【???side】婚約者は心配性

お久しぶりです。終わり方が中途半端で申し訳ないです。


「こらレイル!大人しく薬飲め!」

「いやいやいや!なんですかソレ!ここ最近で一番ヤバい色してるじゃないですか!!」



入室してきた先生の手元を見て即座に布団を被り籠城。なんだあれは。言葉で表現出来ない色なんてあるのか。

こうなることが分かっていたのだろう、一緒にいた兄さんにあっけなく拘束され薬が目の前までやってきた。

無臭なので嗅覚がやられることはないが、それにしたって恐ろしい。どうして先生は完璧な薬が作れないんだ。

口元まで来たそれをギュッと目を瞑って視覚を守り、そのまま飲ませてもらうことにした。大袈裟だと兄さんの笑い声を耳が拾ったが、経験したことがないからそんな風に楽観視していられるんだ。

侵入してきた液体はゆっくりと喉を通過していく。すんなりと入っていくそれの味は普通だった。ほんのり柑橘っぽい感じがする。



「っっぷ。…なんで匂いも味も大丈夫なのにこんなに酷い色…。」

「だから大袈裟なんだよ。」



拘束を解いた兄さんは再び先生の横に立った。薬瓶を預かり洗浄魔法をかけて足元にあったケースにしまっている。



「じゃぁ、あと3日は大人しく寝てなさい。」

「は?そんなにですか?僕元気ですけど。」

「何?もっと薬の量増やしてほしい?」

「すいませんでした。」



先生の言葉に反論したが、脅迫で返された。

3日も此処に居たらやられる。主に視覚と嗅覚と味覚と精神が。

彼女達曰く、辺境伯令嬢が使っていた麻痺毒が予想より厄介らしい。即効性の毒は文字通りすぐ効果が現れるが持続性はそこまでなく、毒もさして強いものが使われているわけではないので解毒は比較的簡単とのこと。逆に遅延性の毒の方が強く、解毒剤だけでなく浄化魔法も使っていかないといけないくらいのものも存在すると。

今回自分に使われたのは状況からみても即効性のものなのは確実。それなのに、完治していない体を酷使したことを除いても治りが遅いらしい。

恐らく辺境伯領で極秘とされているものなのでは、という先生の見解で現在は彼女のお祖父さんに連絡をとって成分分析をしているらしい。それがお手上げになったら辺境伯に接触するそうだ。



「失礼するよっと、お取込み中かな?」

「あら、殿下。遊びに来ていたのですね。」

「げ。」

「せっかくお見舞いに来たのに、その反応は酷いなぁ。」



二人の向こう側から登場したのはロシュロール殿下だった。今日も仕事をサボって遊びに来たらしい。

僕がサラと婚約してからアシュモード陛下が殿下の婚約者探しをしていると聞いているけど、本人がこんな状態じゃ難航することは必至だろう。



「別に僕はお見舞いに来てほしいとは思っていないので。」

「冷たいなぁ。キミ達に伝えるべき話があるのに。」

「俺達ですか?」



僕の言葉にニヤニヤしながら返していたと思っていた殿下が急に真顔になる。同時にピリピリし始めた空気に兄さんがたまらず声を掛けた。



「今この都市に大層なご身分の客人が来ているのは知っているかい?」

「いや、そんな予定はなかったはずだ。そもそも、そんなに高貴な人間ならあらかじめお伺いを立てるのが常識だと分かっていると思うが…。」

「彼もまた魔術師を認めていない人間の一人だからね。っと、レイル殿、いきなり何するんだい?」

「回りくどいのはいらないので、早く話してください。」



メインどころを話さない殿下に急かすよう火の玉をぶつけたが軽く躱されてしまう。しかもそのまま消されてしまうのだからイライラする。

ガキだのジジイだの口喧嘩の応酬になり、詠唱が始まったところで兄さん達に止められた。



「殿下、結局お客様は誰なんですか?」

「ん?帝国の皇太子だよ。ちょうど到着した時に貿易門にもその連絡が来ていてね。面白くなりそうだから影を付けていたんだ。帝国は彼女を取り込むつもりらしいね。」

「はぁ!?って、レイル!」



遠い所から先生の声が聞こえた気がした。


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