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【完結】魔女の箱庭  作者: うかびぃ
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vs皇太子。


トゥコーテンさんの薬でもすぐに回復は出来ないくらい魔力消費と体力の消耗が激しかったようで、レイル君はしばらく病院のお世話になることが決まった。城門前戦闘の傷も完治していなかった影響も大きかったらしい。

なのでここ数日は家でダラダラとしていたのに、それを阻止してきたのは父だった。



「偉い人ほど前もって連絡を入れるとか、報連相がしっかりしてると思っているのだけど。」

「それには激しく同意だ。よりによってロシュロール殿下が訪問している時にとは。」

「殿下には?」

「大丈夫だ。まだバレてはいない。」



役所の廊下を父と歩く。

前触れも無くやってきた客、帝国の皇太子はこの先の応接室にいるとのこと。ゾンデルさん達がものすごく慌てていたって聞いたけど、少し見てみたかった気がする。

非常識な皇太子が来たってだけでも厄介なのに、本日はロシュロール殿下が全然忍んでいないお忍び観光をしているらしい。帝国のやり方が気に食わないと精鋭を向けかけていた殿下に今回のことが知れれば、役所が壊されかねない。私達には優しくても、トップクラスでヤバい過激派所属の魔族だ。人間なんて躊躇いなく亡き者にしてしまうだろう。それは精神衛生上よろしくないので、絶対に阻止したいところ。



「入室してすぐに拘束してもいいですか?」

「………。まぁ、こちらが礼儀正しくすることもないだろうから構わん。」



ダメ元でお願いしてみたらアッサリ了承されて驚き。だいぶ父もこの街の緩さに馴染んできたらしい。以前だったら胃をさすりながら拒否してきたのに。

到着した部屋の前、一応ノックをすると「入るがいい」と。

どうしよう、このままこの部屋爆破させたい。



「お待たせしました『動かないでください』。」

「は?っん!?」

「発言権も奪われたくなかったら騒がないでくださいね。自分の命日が今日になりたくなければ余計に。」



恐らく立ち上がって迎え入れるつもりだったのだろう、タイミング悪く中腰の状態の時に魔法を喰らってとんでもない格好の皇太子が驚愕の表情でこちらを凝視している。

やばい、吹き出しそう。父も視線を反らしてる。笑いを堪えるのに必死で肩が震えてるよ。



「貴様!何をした!」

「いや、ホント、ちょっとそんな格好で言わな、ふはっ。」

「サラ、笑うなんて失礼だろう?皇太子殿下だって好きであんなかっふっ。」

「貴様等不敬だぞ!」



威厳も何もない皇太子に思わず笑ってしまって窘められたけど、視線を戻した父も笑ったから同罪だ。

レイル君がこの場に居たら、大爆笑で笑い転げそう。



「な、にもしないと約束してくれるなら、ちゃんとしたかっふっ、こうでお話出来るようにしますよ?」

「笑うな!いいから早くしろ!」



この後5分ほど、皇太子がちゃんとお願いするまで笑い続けた私達である。

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