ざまあみろとも思わなくもない。
「ばっかじゃないの!!?あれは一度に沢山飲むもんじゃないって説明したわよね!?アンタといいサラといい、なんで人の話聞かないわけ!?」
「ごめんなさい…。」
「え、なんで私まで怒られてるの?」
職員さんに助けてもらった後、同時にトゥコーテンさんにも連絡を入れてくれていたようで、救護室にレイル君を運んだら鬼の形相で待ち構えていた。すぐに彼をベッドに寝かせ処置をしていく彼女に感動すると同時に、作った張本人なんだからそりゃ治療法もしっかり把握してるよねと納得。
時間もかからず意識を取り戻したレイル君を心配しつつ始まったお説教を一緒に聞いていたのだが、こちらにまで矛先を向けてくるようになり、帰りたい願望が。
「退院させたの間違いだったわ。スタッフ寄こすから、アンタはこのまま病院で数日様子見。サラはアルテナが元に戻ったんだから仕事しなさい。」
「「え。」」
トゥコーテンさんの言葉にレイル君と揃って声を上げる。
特に考えていなかったけど、確かに皆がいつも通りになったってことは自分の生活もいつも通りになるわけで。
つまり、今まで通り仕事をしないといけないと。
「ちょっとレイル君!?なんで元に戻しちゃったの!?残りの人生ラクしていけると思ったのに!
というか、なんで元に戻せたのか聞きに来たんだけど!?」
「だってあのままコッソリ生活するサラなんて見たくなかったし、堂々と恋人面したかったんだよ!ラクしたいなら僕が仕事手伝うし、お義父さんと兄さんにも押し付けるから!」
「いやアンタ達だいぶ酷いこと言ってるし、カイル酷使するのは許さないんだけど。…サラ、元に戻った説明聞いてないの?」
病人相手に全力で肩を掴んで揺する私と、全快していないのに大声で自分の欲望をぶちまけるレイル君。
それを呆れたように見るトゥコーテンさんが私の質問に反応してくれた。
「レイル君のおかげて元に戻ったのは自宅のメモ書きで確認はしたんですけど、詳細は何も。トゥコーテンさん達が記憶そのままなのも気になっていて。」
「じゃぁその話は病院でしましょうか。レイル運んでる間、サラはスヴェン殿の所で仕事手伝ってなさい。」
私を退出させる為にくるりと向きを変えられ、そのまま扉まで押された。確かに先に病院に行ってもやることはないし、仕方ないが仕事をしてこよう。いや、適当に役所内ウロウロしてるだけでいいのでは?
「アンタは運んだらとりあえず薬剤投与ね。」
「それ絶対やばいやつですよね!?説明出来ずに気絶する未来しか見えないんですけど!?」
扉を閉める直前、レイル君に死刑宣告がされた気がする。
うん、どんまい。
 




