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【完結】魔女の箱庭  作者: うかびぃ
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浜辺ならロマンチック?


広大な畑の隙間を全力で走る。線路脇だとすぐに見つかる気がして、支柱が使われている畑を選んで隠れるように移動。転移なんて使っている余裕はなかった。絶対発動中に捕まる。

このまま小屋まで行ってしまうと潜伏先がバレてしまうので、とりあえず病院を目指した。トゥコーテンさんなら何とかして…いや、報告書見たってことは彼女が渡したってことだから、この鬼ごっこの原因は彼女だ。行ったら捕まってレイル君に突き出されてしまう。それは駄目だ。何処に行こう?



(覚えてると思わないじゃか!私の覚悟は何だったんだってめちゃめちゃ恥ずかしいじゃん!)



他人の前で甘い空気になるのが恥ずかしいのもあったけど、それが思考のほとんどを占めていた。

今のところ追いかけてきている気配はないが油断は出来ない。だって、あのレイル君だし。



「ねぇ、なんで逃げるのー?」

「ひっ、ぎゃぁぁぁぁ!!」

「あっはっはー、酷いなぁ。婚約者相手に出す声じゃないよー?」



ほら、現れた。

いきなり並走するように登場した彼は、足元をよく見ると地に足がついていない。くそぅ、いつの間に浮遊魔法を使えるようになったんだ。完治してないのにって一瞬でも心配した自分を殴りたい。

彼はこの状況を楽しんでいるのか、私を捕まえることをしない。こっちが力尽きるのを待っているのだろう。今までで一番輝かしい笑顔で見てくる。



「そろそろ市場だねぇ。まだ頑張る?」

「びっ病院にもっどってくださいぃぃぃぃ!」

「じゃぁほら、病院まで頑張って走って走って。」



後ろから追いかけた方がもうちょっと速くなるかなー?と言ってレイル君は私の少し後ろに移動して、一定の距離を保ったままついてくる。もうほんと勘弁してほしい。怖すぎる。

速度は変わらずそのまま市場エリアに突入。入院中の城主が見知らぬ女を笑いながら追いかけてるから、それはそれは注目を浴びる。



「レイル様ー!何してるのー?」

「城主様、お怪我は大丈夫なのですか!?」

「侵入者ですか!?お手伝いしますか!?」

「やっほー。もうほとんど完治してるから大丈夫だよー。侵入者とかではないから気にしないでねー。」



こっちは全力で走り続けて限界だというのに、後ろでヘラヘラ笑いながら住民に応えてる彼が憎い。あっという間に市場を突っ切り、病院が見えてきたところで視界に入ってきたのは。



「かっいる!さまぁぁぁ!!助けてくださいぃぃぃ!!後ろのっ!なんとかしてぇっ!!」

「おや、サラじゃないか!皆の邪魔になるから、婚約者との追いかけっこは浜辺でやりなさい!」

「いや!違いますからっ!!もうねぇぇぇぇ!!」



大声でSOSを求めたが、同じく大声で楽しそうに返してきた。酷い。

そのまま彼の前を通り過ぎて、とにかく逃げる。



後日トゥコーテンさんに「そのまま城門の転移魔法陣使ってドルベルド領にでも逃げれば良かったじゃない」と言われて、カイル様にも爆笑されるのである。


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