【???side】弟、兄夫婦に怒りを覚える
駆け足で入力しているので、誤字脱字あったらすいません。
「もう退院でいいんじゃないでしょうか。」
「傷は塞がっているが出血量が半端なかったんだ、もう少し大人しくしていろ。それに、まだ入院2日目だ。」
ピシャリと言った見舞い客は書類に目を通しながらでこちらを見向きもしない。僕の代わりに仕事をしていてくれてるので感謝はしているが、そんなに冷たくしなくても。
王太子妃に刺されて兄さんと共に城門まで下がってからの記憶はない。麻痺毒と出血の多さに耐えられなかったのだろう。目が覚めたら既に病院で、パーシルさん達が治療にあたってくれていた。僕が意識を取り戻したことに病室はお祭り騒ぎになって兄さんが叱ったのは面白かったけど。
「そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
「…なんのことだ?」
このやり取りは何度目だろう。
颯爽と現れたと思ったら凍えるような声で王太子妃を問い詰めていた背中に、どこか既視感があったのを覚えている。
あぁ、彼女はこんな魔法も使えるようになったのかと。
まるで知っているような感覚は少し前からある自分の中の違和感を大きくする。知っているのに記憶にはない。それがどうしようもなく気持ち悪いのに、それを兄さんに聞いてもはぐらかされる。絶対に何か知っていると確信してから何度も聞いているが、返答は変わらず。
昨日散々聞いてうんざりしていた彼がどこかに手紙を飛ばしたのは確認している。恐らくあの場に居なかった先生宛だと予想は出来たが、そもそも治療となったら嬉々としてやってくる彼女がいないのもおかしい。
多分、彼女も何か事情を知っているのだろう。そう思って見舞いに来た時に聞いたが頭を叩かれただけだった。
「…彼女が、サラ・オズマンなんでしょう?」
「それが正解だとして、だから?」
「僕、彼女のこと何も知らないのに知っているんだ。彼女の為にメドニエの城も燃やした。彼女の家に住んでる。教えてよ、何この気持ち悪い感じ。」
「……なんでよりによってお前に弊害が生まれてるんだよ。」
お前以外以前と変わらず生活しているというのに、と言う兄さんはいらない書類の後ろに何かメモを書いて何処かへ飛ばす。すぐに返ってきた返事を見たと思ったら、先生がすぐ来るとのこと。なんで?
「アイツが一番サラ・オズマンに近い人物なの分かっているだろう?まぁ、お前次第だが。」
「なんで僕…。」
上で実験をしていたらしい先生はすぐに降りてきてくれた。紐で閉じられた報告書を片手に。
「これで何も感じなかったらそのまま気持ち悪い奴で居ろ。」
「その言い方だと僕が気持ち悪い人間みたいなのでやめてください。」
「安心しろ。思い出しても思い出さなくても、お前は気持ち悪い。」
夫婦揃って酷い言いざまである。




