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【完結】魔女の箱庭  作者: うかびぃ
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リストバンドより電車。


「おはようございます。」

「「おはようございまーす!!」」



昨日は返ってこなかった返事が元気に返ってきたのに驚きを隠せないと同時に、寝不足気味の私にはキラキラしすぎてツラい。可笑しいな、私この子達とそこまで年齢変わらないはずなのに。

今日はしっかり目覚ましを設定したので9時に起床。軽く身だしなみを整えて病院を訪れた所、何故か外で全員待機していた。そして冒頭の挨拶である。



「随分警戒心を解いてくれたようで安心というか、チョロいというか、この子達の未来が心配だ。」

「私が丁寧に説明したのよ。感謝しなさい。」

「ありがとうございます。」



得意気に隣に立ったトゥコーテンさんに感謝しつつ目の前の集団を見る。レイル君はすっかりお友達になったようだ。



「さて、昨日も言ったように今日から皆さんはここで生活していきます。その為にまずはこれを着けていただきたいのです。」



折角だからトゥコーテンさんに仕事してもらおうと昨日作成したリストバンドを各々に配ってもらう。



「それは常に着けておいてください。」

「え?寝る時も?」

「そうです。着けるとその中に着用者の個人情報が登録されます。この街に住んでいる証明です。それを城門でかざしてもらえば自由に出入りが出来ます。」



交通機関の無料化に関しては、自動で動いてるもので特に人件費もかからないのでそもそも有料にする必要はないと判断した。



「あの…税を納めないとですよね…?私達、何も持っていないのですが…。」

「そこは安心してください。とりあえず今日から1年間は税を納めてもらうつもりはないです。その税に関しても、この後皆さんに譲る畑から獲れた野菜等を少量でいいので納めてもらえれば大丈夫です。」

「それだけでいいの?」

「はい。別に私は皆さんから徴収しないと都市が経営出来ないなんてことはありませんので。ただ、人災は防げても自然災害を予知して防ぐことは出来ないので、もし何かあった時の為に食糧難だけは対策しておきたいんです。」



経営は箱庭と自分の声でどうにでもなるのでまったく心配はない。例え地震があろうが整地ならあっという間だ。だけど整地するだけで駄目になった作物を戻すことはきっと難しいだろうから、そこはしっかり備蓄しておきたいところ。



「それと、皆さんの住居についてなんですが…。」

「それは昨日私達で少し話したの。この子達は1人で生活、残りの子達は大人組の所に均等に分けて自立するまで一緒に暮らすことにしたわ。」

「あ、そうなんですね。じゃぁまずは家を登録しましょうか。」



病院から少し歩いた所にある居住区へ移動する。そういえば周回用のマイクロバスを造るの忘れていたな。もう私だけではなくなるから今日中には用意しておかないと。

それぞれの家にリストバンドをかざしてもらって登録してもらう。小さい子は登録時に発生するキラキラに目を輝かせていた。

これで登録されている人間以外は家に勝手に入ることは出来ないので、自ら招き入れなければ泥棒等の被害はほぼゼロだ。

一度中に入って確認してもらっている間に空を見上げる。特に変わった所はないが、ちゃんと結界は張れているのだろうか。現段階では悪意あるものが空から来ることがないせいで判断がつかない。こればっかりは実際に強襲された時に検証するしかないだろう。



「サラ、確認終わったよ。」

「あ、レイル君ありがとう。」

「本当にこの街は凄いね。本で見たことないものが沢山だ。」



外へ出ることが許されなかった彼は恐らく誰よりもテンションが上がってるに違いない。一緒に住む子達とアレがしたいコレがしたいと楽しそうに教えてくれる。



「皆さん確認終わったみたいなんで、畑に移動しますよー。」

「また歩いていくの?」

「違うよ。昨日乗った電車に乗るんだよ。」

「デンシャっていうの!?デンシャ!デンシャ!」



私より少し下っぽい女の子が電車に反応して一気にテンションが上がったようだ。皆の方に行ってデンシャって名前だと高らかに叫んでいる。

皆また電車に乗れるのが嬉しいのか、早く行こうと腕を掴まれ急かされる。



「そんなに慌てなくても、これからは毎日乗れるよ?」

「毎日!」

「そうだよ。電車で畑まで行ってお世話して帰ってくるんだよー。」

「キャー!」



そんなに乗るのが楽しいのか、とうとう走らされてしまう。待って、寝不足で私そんなに元気じゃないのよ。

そして駅はそっちじゃないから!






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