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【完結】魔女の箱庭  作者: うかびぃ
182/208

【???side】飛んで、怒られて。


うちの城主様はなかなかぶっ飛んでいる人だとは前々から思っていた。

長年の種族間の溝を、あの都市の中だけだが見事に埋めているのに驚きを隠せなかったのが最初。

水面下で動いていると聞いていたロシュロール殿下達過激派の動きを制したのも彼女なんだから、本当に規格外だ。



「だからって、コレは駄目でしょ…。」



辺り一面真っ黒こげ。

飛ばされた先はメドニエの城だったものの前なのは確かだろう。そこは成功したので素晴らしいと言いたいところだが。



「いたぞ!魔族だ!」

「アイツがお城を燃やしたに違いないわ!」



様子を見に来ていたらしい城下町の人間達の目の前でもあったせいで、すっかり犯人扱いされて絶賛逃走中である。私、炎系の魔法苦手だからあんまり使わないのに。そんなこと彼等に言ったところで意味をなさないのだが。

埒があかないので一度浮遊で建物の上へ逃げて駆け抜ける。少し城跡から離れてしまったので、近くまで戻って変装するのがいいだろう。

下からの怒号が聞こえなくなったので、方向転換をしつつ体のパーツを徐々に変えていく。出来るだけ人間に似せないと。



「よっと…。こんなもんかな?」

「うわぁ!…なんだお前、なんで上から降ってくるんだ?」

「えぇ!?あ、いやぁ、建物の上とかにさっきの魔族が居ないかなぁと…。」

「なるほど。でもその様子じゃ居なかったみたいだな。俺はあっちを探すから、また上を見に行くなら頼んだぞ!」



まさか降りた先に人間が居るとも思わず怪しまれたが、なんとか誤魔化せたようだ。急いでいるとはいえ、ちゃんと確認しないと駄目だな。

周囲を警戒しつつ最初に飛んできた場所まで戻ったが今度は誰も居なかった。

これならゆっくり捜索出来そうだが、果たして魔術師はまだ残っていてくれているだろうか。



「それにしても、本当に綺麗に燃えたな…。」



それなりに立派な城があったに違いないだろう。今は一面真っ黒でそんな面影ないが。

とても視界は良好で見る限り人の影などない。長時間同じ場所に居るとも思えないのでそこまで期待はしていないが、せめて何か手掛かりでもあれば。

勿論そんなものも見つかることなく、自分の荷物の心配をしつつアルテナまで転移すれば早々にトゥ先生に捕まり病院に引きずり込まれる。



「アンタ今までどこ行ってたのよ!?ちゃんとサラのこと覚えてるんでしょうね!?」

「ちっ父の使いで獣人の国に!サラ様にもお会いして、伝言を預かってます!」

「よくやった!」



彼女の名前を出しただけでホッとしているのを見るに、本当に皆忘れてしまっているのだろう。

向こうでの彼女の様子と伝言を粗方話し終え、最後に戻ってくるまでの経緯を説明したら。



「あのおバカ…!他人を飛ばすのはまだ不安定だからやめなさいって言ったのに!アンタも!なんでそれを了承したのよ!?」

「私の話聞いてました!?返事する間もなくメドニエに飛ばされたんですけど!?」



なんで自分が怒られているんだ。後ろのカイル殿は知らぬ存ぜぬで緑茶啜っているし。

サラ様が戻ってきたら一番に文句言ってやる。

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