これは確かに飽きるやつですね。
目的地は決まったので、そこまでの経路をもう一度図書館に戻って確認する。
丁度こちら側にあるので、メドニエから2日ほどで到着できそうだ。城下町から出てる辻馬車で国境まで出るとして、国を出たらバスでいいだろう。人目に付くとマズいから移動は夜になってしまうが仕方ない。
「そうと決まれば食糧調達だな。」
道中の暇潰し用に何冊か本を拝借して厨房へ向かう。廊下に転がってる人達はほとんど気絶していたが、まだ悶絶している人が私を見て悲鳴をあげるのでとりあえず黙らせて進む。
一階の奥まった所にあった其処はちょっとだけ寒かった。まずは水分補給と近場のコップを手に取り水をがぶ飲みする。うん、生き返るね。
これまた適当に入った部屋で拝借した鞄に日持ちしそうな食糧をポイポイ入れていく。ドライフルーツあるのはちょっと嬉しい。干し肉もあったので入れるついでに一口。
「うん、ミリアさんが嫌になるのも分かるな…。」
アルテナも濃い味の料理が多いが、それ以上に濃い。病気になるじゃないかレベルである。
わがまま言っていられないので持っていくが、できれば食べずに済みたい。
「こんなもんかな。後はシャワー浴びたいな…。」
どうせ馬車が動くまでは何も出来ないわけだし、ここで一泊してしまうか。洗浄魔法は使えないので服が洗えないのが残念である。どこかに着れそうなものがあればそれもいただこう。
というか、
「あのヒロインの部屋なら服あったのでは…?」
先程見た感じ体型は近かったし、服の趣味はだいぶ違うだろうがそこに目を瞑れば着れそうな気がする。
確実にお風呂もあるだろうし、ソファも結構大きかったからそこで寝れば良いのでは?
「王太子さん居るけど、あれは廊下に放り出して鍵かければいいか。」
我ながらナイスアイディアである。早朝になったら窓から脱出すれば様子を見に来た人がいても大丈夫でしょう。
そうと決まれば3階へダッシュだ。
「はいっ!そういうことなので出てってくださいねぇ。」
「いやどういうことだ!?」
意外と元気な王太子さんを部屋の外までゴロゴロ転がす。まだ寒い時期じゃないからそのまま寝ても風邪引かないでしょ。同じように転がってる人チラホラいるし、寂しくもないし?
部屋の鍵の上から更に魔法で厳重にロックをかければ完璧だ。そのまま先にシャワーを済ませ、衣装部屋へ向かって着れそうな服を漁る。フード付いてるものは無くて、やっぱり明日以降は髪の色を変えるのは決定事項だ。
それにしても地味な服が無いな。コソコソできないじゃないか。
 




