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【完結】魔女の箱庭  作者: うかびぃ
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【???side】姉、助言を聞かず散る②

職場が毎日妖怪大戦争。


喉が焼けるように痛い。

全身がナイフで刺されてるみたいに痛い。

ジョエルや侍女が交代で使ってくれていた治癒魔法が切れて、落ち着いていた痛みがじわじわと復活してきた。

すぐ横までやってきた妹に言葉をぶつけたいのに。



「貴女に向こうで殺されてから、今この瞬間まで。色々ありましたけどやっと終わります。自由です。私はこれから余生を一人満喫しながら幸せに暮らします。」



そう言って手を翳してくる彼女は泣きそうな顔をしていた。幸せと口にする癖に何故。



「私優しいから貴女のお話聞いてあげますよ。『喋ってください』。」

「何言って…っ!?ぁ…声…。」

「私の魔法です。治したわけじゃないですので。」



また魔法を使ったらしい。いったいどうやって。それが彼女の祝福なのか。



「なんであんたばっかり…!アタシは幸せになるのが決まっていたはずなのに…!」

「それは貴女が努力を怠ったからでは?私は今までの魔女達の記録をしっかり読み込んで備えていました。まぁ、貴女が何もしてこなかったので無駄だった気もしますが。」

「じゃぁ、レイル様が亡くなったもの貴女の仕業…!?」

「彼は生きてますよ。母親も。」



彼女の口から発せられる衝撃的な事実に別の意味で声が出なくなる。魔女達の記録とやらは恐らくヒロイン達の日記と似たようなものだろう。そこでストーリーは知らなくても未来に何が起こるかを把握して動いていたと。

アタシだって何もしなかったわけじゃない。目の前の妹が森に引き籠ってる間は学校で必死に勉強した。彼女がストーリーと違う動きを見せて屋敷を出て行ってから、どんな事態にも対処出来るようにひたすら魔法の精度も上げた。人付き合いだってそれなりにこなしてきた。



「なんで…なんで…!」

「だから自業自得ですってば。私が出て行く前に始末しておけばこうはならなかったでしょうね。まぁ、それだと話の通りにならなくてお姫様になれないから生かしておいたんでしょうけど。」



溜息をこぼした彼女の手が再びこちらに向いた。

嫌だ、アタシは死にたくない…!



「分かった!謝るわ!だからお願い!見逃して?こんな体じゃもうアンタに何も出来ないのは分かるでしょ?ね?」

「何言ってるんですか。向こうで私の意思関係なく命奪った人を見逃すわけないじゃないですか。それに任されてるんですよ、この話を終わりにしてくれって。」



だから、サヨナラですよ。

そう彼女は綺麗な笑顔で言ったのが最後。

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