【???side】治癒士は願う①
更新が遅くなってしまい大変申し訳ございません。可能な限りストック作って定期的にあげられるように頑張ります…。
「なんとか戦争が始まるまでには帰れそうね。」
「そうだな。色々と一安心だ。あとはあの魔法陣が上手く起動していればいいんだが…。」
サラを送り出してから2日。挨拶回りを終わらせたらすぐにでも帰ろうとカイルと話していたのだが、帝国から最後の調整とばかりに遣いが来るから相手をしなきゃいけないわ、キルトと仲直りするまで帰さないとおじいちゃんが騒ぎ出すわでなかなか支度も出来ず予定よりも遅くなってしまった。
来た時とは違って魔法陣があるものの、その性能にいまいち期待が出来ないので使わないという選択肢もあったのだが、いつ戦争が始まってもおかしくない帝国とシュゼールをもう一度経由するのも面倒だったので、頼らざるを得ない。
「…あれね。」
「そうだな。」
暗い森でぼんやり輝いてるソレを発見。ぱっと見はちゃんと起動しているようだが果たして。
飛び先がランダムになっていた場合離れてしまうのはマズいので、一緒に飛ぶことを決めて魔法陣の上に立つ。すぐに眩しい光に包まれて発動したのは分かったのだが。
「…どこだここ…。」
「…ドルベルド領ね。やっぱり失敗作だったみたい。そこまでアルテナから離れていないのが救いよ。」
こっち、と彼の手を引いて懐かしい大通りを歩く。少し寂しく見えるのは昔見た活気ある商店街でないからだろう。まぁ戦争間近だからしょうがない。
徐々に見えてくる城壁に安堵する。特に変わった様子も無さそうだ。あそこだけは、自分の住む街だけはきっといつも通り活気に満ちているのだろう。
先に到着している彼女は今頃婚約者がべったり張り付いているに違いない。それを見るのがとても楽しみだ。
「あ!先生!おかえりなさい!」
「カイル様もご無事でなによりです!」
門をくぐればすぐにゾンデルさん達が出迎えてくれた。うん、問題はなさそうね。
「サラが先に帰ってきてると思うんだけど、大丈夫そうだった?」
「サラ…ですか?新しい住民でしょうか…?」
「は?」
サラの安否を確認するが、返ったきた言葉が想定外のもので茫然とする。彼の表情を見るに本当に何のことだか分かっていなそうで、次に横のカイルを見れば同じタイミングでこちらを向いた。
「全然大丈夫じゃなさそうね。」
「そうだな。役所に確認に行くか?」
「えぇ…。待って、アタシは一度病院に戻るわ。そっちでもサラのこと聞いてみる。」
「わかった。ゾンデル殿、緊急用の電車の準備を頼む。」
カイルの言葉で場が騒然とする。そりゃぁ、いつも通りの日常だと思っている彼等からしたらいきなり緊急用を使うなんて言われたら驚くわよね。
どうか異常なのは此処だけですように。




