ただいま。
閲覧ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
「なるほど…って納得できるわけないでしょ!」
「あははー、申し訳ない…。」
違和感求めて裏路地に着いた結果、新たなる住人ゲットでテンション高めに戻ったらトゥコーテンさんに叱られた。因みにさっきのメナと言われていた女性はあのまま放置した。朝になったら動けるようになるでしょう、多分。
「初めまして、レイルと申します。」
「あ、初めまして、トゥコーテンです…って、何このマイペースな自己紹介。デジャヴ。」
深々とお辞儀した彼に脱力したトゥコーテンさんはフラフラと子供達のいる方へ戻っていった。皆新しい黒髪にこちらに視線を寄越すだけで近付こうとはしてこない。
「まさか貴女が黒髪の魔女だとは…。助けていただき本当にありがとうございました。」
「たまたまですよ。ところでレイル…さん?は王都から来たんですよね?」
「僕とそう年齢変わらなそうですし、普通にレイルでいいですよ。王都といっても没落貴族ですからね、そんなキラキラした目で見られても楽しい話は出来ませんよ?」
再びアルテナに向かって動きだしたバスの中で対峙する黒髪の彼・レイル君はアタシの視線をバッサリ切って苦笑いだ。聞いた姓も確かに侯爵家で教えられた貴族の中にあったし、間違いはなさそうだ。
王都から距離があるオズマン領な為に出向いたことがない私。デビュタントもまだだったので正直王都やお城に憧れはある。もういっそのこと先代が作った家を箱庭でお城にしてしまおうか。
そんな頭の中での提案を掃除が面倒だという理由で即座に却下しつつ。
そろそろ見えてくるだろう城壁を視界に入れたくてフロントガラスの向こう側に目を凝らした。
「アルテナはどんな所なのですか?」
「まだ何もないよ。整地とか人が住める環境にはしたけど。」
これから住人を沢山増やしていかねばならない。8割がた住居が埋まってそれぞれが仕事を持ってくれれば、それなりの形になるはず。外部からの攻撃を迎え撃つだけの戦力はとりあえず後回しだ。しばらくは国も各領も他国も様子見で間者を送ってくるくらいだろう。たいした成果が得られずに焦れて仕掛けてくるのが早いのはどこか。
「まぁ転生者のあの子が真っ先に気付いて暴走しそうだけど。」
あと気になるとすれば彼の母親だ。話を聞くところによると生存しているわけだが、何故一緒に逃げて来なかったのか。先程のメネ曰く【公爵家が許さない】らしい。実家は公爵家でその能力のことがバレて戻されるのを考えてか?
まぁ現段階じゃ情報も少ないし、特に気にせず目の前のことを片付けていくしかないだろう。
城壁が見えてきたのを確認して運転席から降りて、レイル君と一緒に後ろへ進む。
「自己紹介がまだでしたね。初めまして、サラといいます。これから向かう城塞都市アルテナのトップです。今日はもう遅いので詳細は明日説明します。アルテナで生活するのが嫌な人がいれば他領までお送りしますので教えてください。」
城門をくぐってすぐにあるバス停横にピタリと停止したバスは、扉を開けて静かになった。
「ようこそアルテナへ。」




