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【完結】魔女の箱庭  作者: うかびぃ
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それが最善。


自分では解呪は出来ない。ヤシュカに応援をとも思ったけど、鴉が使えないから手紙は飛ばせない。アルテナを出ようにも、今度こそ眠ってそのままおしまいの可能性だってあるから動けない。そうこうしている間にトゥコーテンさん達が帰ってきて犠牲になってしまう。

為す術無しだ。

だが逆に、この呪いを解けば反動でヒロインはただではすまないだろう。彼女は呪いをそこまで詳しく知らない。これだけの規模だ、下手すれば命を落とす。

つまり、解呪すれば彼女が消滅して私は自由?



「…頑張らなきゃ。私は今度こそおばあちゃんになるまで生きるんだ!」



そしてそれは彼と一緒がいい。だから何としても解呪を。



「…リセット。」



ふと思い浮かんだ言葉を呟いてハッとする。そうだ、一度白紙に戻してまったく同じように作り直せばあの呪いもなかったことにできるのでは?元に戻すのに膨大な魔力を使うけど、幸いトゥコーテンさんから回復薬は多めに貰って家に保管してある。作業後気絶するの確定だが、やる価値はある。というか、これしか出来ることがない。

書斎にある瓶をあるだけ持ち出して箱庭の横に置く。さて、どうすればリセット出来るんだ?



(前に拡張した時は箱庭からメッセージが出てきたけど、自分からって?唱えればいいのか?)



「…箱庭のリセットを。…うわ、出るんかい。」



本当に優秀なこの遺品はちゃんと私の声に反応してメッセージを出してくれた。がしかし、拡張の時とは違い少しだけ説明文がついている。そんなにたいした量ではないのだが。



゛リセットすることによって、対象内にいるモノの現在の記憶もリセットされますがよろしいですか?゛



「……!!」



対象内ってことは今アルテナにいる人や生き物全てってことで。

それはつまり、皆が私を忘れてここで新しい生活を続けるということ?きっとベースとなる記憶はそこまで変わらないだろうけど、そこに私が存在しない?

レイル君にも忘れられてしまう?



「まぁ都合良くいかないよね…。………リセット。」



皆が死なないならそれでいい。これでヒロインが退場してくれれば先代達の悲願も達成できる。何より私もこの先自由に生きていける。

ハッピーエンドじゃないか。



「それに、あの二人はきっと覚えていてくれる。それで満足しよう。」



真っ新になった箱庭を視界に入れて、後日帰ってくる夫婦に宛てた手紙を書く。明日になれば元通りだから、病院の彼女の机に置いておこう。そしたらメドニエに行ってヒロインの状態を確認して旅でも出ようか。アルテナの端に小さな小屋を作って森で囲んでひっそり暮らすのもいいかもしれない。

住人のフリして彼に近寄ったところで、また同じように好意を抱いてもらえる可能性もないから。それなら会わない方がいい。


瓶の中身を流し込んで眉間に皺が寄る。

涙も出てきたけど、これは味がとてつもなくマズいからだ。

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